TYOの掟?

 円谷プロがTYOなる映像制作会社連合体(?)の子会社(実際は孫会社)として吸収されたというニュースは以下の通り9月にセンセーションを引き起こしたところだ。TYO社長の吉田博昭という人物は、かの迷作「ゴキブリたちの黄昏」を監督したCF出身の演出家だ。

円谷プロ、映像制作TYOの子会社に
2007年9月12日 12時48分
映像制作大手のティー・ワイ・オー(TYO)は9月11日、「ウルトラマン」シリーズの商品化を手がける円谷エンタープライズとその子会社で同シリーズの原著作権保有する円谷プロダクションを子会社化すると発表した。TYOが持つテレビCM、Webコンテンツなどの制作ノウハウをもとに、人気キャラクターであるウルトラマンを利用して多角的な事業展開を図るという。
TYOは10月17日を払込期日として、円谷エンタープライズの第三者割当増資8000万円分を引き受け、同社株式の80.0%を取得する。円谷エンタープライズ円谷プロダクションの株式を45.5%保有しているが、増資後さらに22.5%を追加取得する。これによりTYOは、円谷エンタープライズを通じて円谷プロ株式の54.4%を間接保有する。
その後は10月16日の円谷エンタープライズ臨時株主総会と、同月18日の円谷プロ臨時株主総会で、TYOグループから役員を選任する予定。
円谷エンタープライズの2006年9月期業績は売上高が前年比8.7%増の3億506万円、最終利益が同42.0%増の2523万円。円谷プロダクションの2007年2月期業績は売上高が前年比9.2%増の55億8884万円、最終利益は同53.2%減の4367万円。

 そして、今日の記事は以下のように伝える・・・

ウルトラマンこれからはCGで…ミニチュアは古い
 人気キャラクター「ウルトラマン」で知られる円谷プロダクションの親会社・円谷エンタープライズが17日、映像制作会社ティー・ワイ・オー(TYO)の子会社となり、都内で会見した。
 ウルトラマンは、怪獣との対決でミニチュアの街並みが破壊されるシーンでおなじみだが、TYOの吉田博昭社長(58)は「CG合成の方が、よりリアルなものが安価でできる。『(ミニチュアの)ちゃちさがいいんだよね』というのはオタク。あまりに少数の人たちの異常な愛着にこだわってはいけない」と発言。自社のCG技術を駆使して、新しいウルトラマンを作っていく考えを示した。
(2007年10月17日20時03分 スポーツ報知)

 遂にオールドファンの逆鱗に触れる発言が飛び出しましたな。TYOグループには、デジタル・フロンティアが所属しており、早晩円谷プロのCGは同社が手掛けることになると予想されたが、その方向性が確実になったようだ。しかし、円谷プロのコンテンツが辛うじて支持されている背景には、円谷プロならではの特撮スタイルのユニークさがあるはずで、闇雲にハリウッド製「スパイダーマン」の猿真真似に流れても、亜流に止まってしまうだろう。
 円谷プロ特撮の伝統芸能性に立脚しつつ、デジタル化による表現枠の拡大といった方法論の検討が真剣になされるべきだと思うが、おそらく大岡新一や円谷一夫は親会社の脈絡を欠いた要望には断固抵抗する気概の持ち主だと思うので、いい形でのTYO関連会社とのコラボレートを期待したい。実際、円谷プロスタイルの刷新の機会ではないかと思う。でも、親会社にいちばん期待されるのは”資金援助”だよね。

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