女の座 ★★★

女の座
1962 スコープサイズ 111分
BS2録画 
脚本■井手俊郎松山善三
撮影■安本 淳 照明■石井長四郎
美術■中古 智 音楽■斉藤一郎 
監督■成瀬巳喜男


 大家族に嫁入りし、夫の亡き後ひとり息子を頼みとして世帯を支える嫁(高峰秀子)と、彼女を囲む義理の姉妹たちのそれぞれの恋模様と思惑を綴ったオールスター女性映画。

 前半は快調だが、調子良すぎる宝田明の登場する後半の脚本上の処理と、唐突な高峰の息子の事故死が劇的に回収できていないように感じる。

東京物語」と後の「乱れる」の設定が混交しているのだが、焦点が絞り込めていないし、群像劇としても「娘・妻・母」の鮮やかな切れ味は無く、凡作といった印象だ。

 安本淳の撮影は、従来の玉井正夫による柔らかな逆光照明のモノクロ撮影に比べると、コントラストが強くなって、リアル志向に見える。

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