フレイルティ・妄執

基本情報

フレイルティ・妄執
(FRAILTY)
2001/VV
(2005/2/12 レンタルDVD)

感想(旧HPより転載)

 "神の手"という謎の文字を現場に残す連続バラバラ殺人事件が、全米中を震撼させていた。事件を担当するFBI捜査官ドイル(パワーズ・ブース)の元へフェントンと名乗るの男(マシュー・マコノヒー)が訪れて、連続殺人鬼の正体は自分の弟アダムであると語り、(以下白文字で伏せます)兄弟と父親(ビル・パクストン)との恐るべき過去を語り始める。まだ兄弟の幼い頃、父親は人間社会に潜む悪魔を滅ぼすよう神の啓示を得たと言い出し、街の人間を殺害してはバラ園に埋めはじめたのだ・・・

 俳優のビル・パクストンが初演出したホラー映画だが、恐るべき企みと深い洞察に満ちたこのジャンルの傑作。オリジナル脚本を書いたブレント・ハンレイという男はいったい何者なのか。

 父親の狂気の行動に汚染されてゆく弟とその行動に終始懐疑的で理性的な行動を貫こうとして父弟と対立してゆく兄の姿を描き出す過去のエピソードが子役の巧演を伴う着実なタッチで描かれ、優れたサスペンスを構成しているのに驚かされるが、その後に訪れる驚愕の真相のあとに家族の辿った残酷な運命とその被害者/加害者として成長した男の人生がどす黒く哀れな姿を現す作劇の念の入り方は圧倒的だ。

 ドラマにより深みを出すためには、父親の殺人が本当に意味のあるものだったのかどうかを明確にしないほうがいいのだろうが、そこまで踏み込むと倫理的に商業映画としての流通が制約されしまうだろう。

 基本的にグロテスクな場面はほとんど無く、役者のドラマを着実に見せてゆくことでサスペンスを醸成してゆく正攻法の演出なのだが、中盤には単純ながら劇的なショックシーンが用意され、文字通り観客の度肝を抜く。まことに良くできた、でき過ぎたといってもいいほどの見事な演出で、ヒッチコックも歯噛みしていることだろう。

 おまけにDVDでは監督、脚本、製作陣のコメンタリーが収録されており、自信の程をうかがわせる。あまりに特典が多すぎて、まだ全部消化できないのだが。 

 スティーブン・キングが絶賛したというのも十分に納得できる一世一代の傑作である。必見。

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