ゴーストライター ★★★☆

THE GHOST WRITER
2011 スコープサイズ 128分
ヒューマントラストシネマ有楽町(SC2)

■退陣した英国首相の自伝執筆に雇われた主人公は、前任者の謎の死の背後にきな臭いものを感じ始めるが・・・
ロマン・ポランスキーの最新作で、なんだかやたらと評価の高いサスペンス映画だが、事件の真相自体は案外単純で、それほど優れたお話とは思えない。しかし、配役の妙と、近頃珍しくゆったりと描き出すサスペンス演出には陶然とする。
■特に、首相の別荘がある孤島の情景が秀逸で、前半の主役はこの別荘と言えるだろう。パヴェル・エデルマンのキャメラが捉える雲の低く垂れこめた陰鬱なロケ撮影が、前半のムードを決定づけている。
■一方、首相の妻、オリヴィア・ウィリアムズと有能な秘書、キム・キャトラルの緊張関係などが非常に面白く、前半はかなり快調である。熟女女優がそれぞれに魅力的で、ユアン・マクレガーが据え膳に手を出してしまうのも無理からぬことだ。
■それに比べると、後半の謎ときはちっぽけに感じられてしまう。前任者の残したナビの履歴で主人公が誘導されてゆくあたりはサスペンス的にも秀逸だし、ラストのメモが手から手に渡ってゆくあたりもしてやったりの演出で楽しいし、ラストも実によくできた演出だとは思うのだが、どうも竜頭蛇尾という感が拭えない。
■でも、堂々としたサスペンス演出は今時貴重なもので、実力派の役者たちの演技合戦とあわせて、ゆったりと楽しめる上品な娯楽映画だ。もっと、大規模に公開すればいいのに。

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