関山耕司の顔が凶器!シリーズ第1作『子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる』

基本情報

子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる ★★★
1972 スコープサイズ 85分 @BS松竹東急
原作:小池一雄小島剛夕 脚本:小池一雄 撮影:牧浦地志 照明:美間博 美術:内藤昭 音楽:桜井英顕 監督:三隅研次

感想

■拝一刀が柳生一族によって公儀介錯人を追われる顛末を回想で挟みながら、壬生藩のお家騒動に絡む刺客を請け負う姿を描く、シリーズ第1作。藩主暗殺の舞台となる湯治場には奸臣(内田朝雄)に雇われたならず者が集結しており、暴虐の限りを尽くしている。

■随分むかしに何度も観たので、新鮮味は少ないけど、リマスターの秀逸さは記録しておきたい。むかし大映が音がテレシネでLDを出したときには、ピカピカに明るい変換をしたので、陰影がほぼ失われていた。実は35㍉ネガには照明が不十分な暗部まで情報が解像していて、上映用プリントを焼く際に焼き度の調整で陰影を表現していたらしい。化学的にフィルムを焼くと陰に沈む暗部が、電気的にテレシネすると、しっかり見えてしまう。なので、まるでビデオ撮影したかのようなハイキーなのっぺりした映像になって、スクリーンで大映映画を観ていた人はビックリした。こんなの大映映画の画調じゃない!独特のリッチな陰影はどこに消えたのだ?

■そこが最近のリマスターはちゃんとフィルムのルックを正確に再現できるようになって、本作も非常に正確なリマスターだと思う。大映京都特有の影の出方が再現されているし、解像度は高いし、色調もフィルムタッチだ。それを堪能するだけで、満足できる。まだラボは京都の東洋現像所を使っている。

■基本的に団子の串刺し状の構成で、脚本教室では合格点をもらえない脚本だけど、個々のアイディアが秀逸なので、単純に楽しい。特に配役のアクの強さが鮮烈で、伊藤雄之助の怪演は天晴だし、なんといっても湯治場を占拠する凶状持ちたちが関山耕司と松山照夫だったことを思い出した。そうそう、三隅研次が何故か徹底的に関山耕司推しで、とにかく顔のどアップがものすごいことになっている。大映京都メソッドで、たぶん顔には霧吹きを使うか、油を塗る(?)かしていると思うけど、とにかく顔が異常にテカテカ。それが際立つように照明も工夫していて、クライマックスは関山耕司の顔しか印象に残らない。三隅研次も、なんだか面白がって寄っている気がするなあ。介錯?拝む?・・・公儀介錯人、拝一刀!というくだりは爆笑の名シーンだった。思い出した。小池一雄、天才肌。

■というのは不正確で、一方の松山照夫がまた素晴らしい。ヒゲ生やしてカツラをつけているので、ほとんど外見は草野大悟に見えるけど、声が違う。関山耕司は完全に若山先生の舎弟だけど、松山照夫は勝新のお気に入りらしく、とにかく勝新映画にはたくさん出ている。松山照夫の名前を憶えたのもこの映画のおかげだった。思い出した。

■そうした男優陣の推し演出(?)は非常に嬉しいのだけど、対する女優陣の扱いの雑さは、さすがに時代を感じさせる。ほんの数年前に大映ニューフェースだった笠原玲子は行きずりの狂女で、ほぼ使い捨ての脱ぎっぷり。次作ではほぼ台詞もなし。すでに1970年のザ・ガードマンでは狼女だったし、そりゃ引退するわなあ。女優使い捨ての、若手女優暗黒時代。


参考

maricozy.hatenablog.jp
maricozy.hatenablog.jp
松山照夫といえば、一般的にはこちら。
maricozy.hatenablog.jp

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