荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻 ★★★☆

荒木又右衛門 決闘鍵屋の辻
1952 スタンダードサイズ 82分
脚本■黒澤明
撮影■山崎一雄 美術■松山崇
照明■岸田九一郎 音楽■西悟郎
監督■森一生

■講談等でお馴染みの鍵屋の辻の決闘をリアルな時代劇として描くとどうなるかという時代劇刷新運動テイストの意欲的な時代劇。黒澤明の狙いはリアルな時代劇の構築にあり、『七人の侍』のための習作といった趣もある小品。
■小品とはいえ意欲作には違いなく、監督をわざわざ大映から呼んできたり、鍵屋の辻付近の街並みをオープンセットで再現したり、案外手間とお金はかかっている。配役ではとにかく三船敏郎が精悍でカッコよく、三船時代劇の代表作じゃないかと思う。
■鍵屋に陣取って、仇の河合又五郎一行を待ち伏せるサスペンスの演出が一級品で、森一生の持ち味が冴える。基本的に演技指導には粘らない人だけど、映像的なセンスのいいひとなので、キャメラワークのついては常に一工夫あり、本作でもかなり意欲的な映像設計を行っている。ラストカットの、三船の疲れ切った表情からクレーンを引いてゆき大俯瞰に至るキャメラワークなども大いに狙ったもので、成功している。
■殺陣そのものは案外省略を利かせて凄惨にならないように撮っているあたりが、たぶん黒澤明的には物足りなかったのではないか。でも、森一生の演出はかなり良い。今井正の『夜の鼓』にも通じるリアル時代劇への強い意志が感じられる。



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