『てのひら怪談 己丑』

■去年の第一作には実話怪談からファンタジー、不思議小説、奇想小説という幅広さがあり、バラエティの広さの中にも、”怖さ”という”怪談”の芯が通っていたが、今年のてのひら怪談は”怖さ”の突出点が全く無い。前作にはいくつかピリッと恐怖の効いた怪談があり、気分を引き締めてくれたが、今回は中途半端な文芸調が目に付き、全体に薄味だ。唯一記憶に残るのは、ヒモロギヒロシのギャグ掌編というのは困ったことだ。

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