冬の絵空 ★★☆

冬の絵空
NHK教育 劇場への招待
 世田谷パブリックシアター
作■小松純也 演出・上演台本■鈴木勝秀 美術■二村周作 音楽■横川理彦 照明■原田保
出演■藤木直人中越典子橋本じゅん生瀬勝久加藤貴子中村まこと

■主君の仇をうとうとしない大石(橋本じゅん)に業を煮やした天野屋(生瀬勝久)は、歌舞伎俳優(藤木直人)を大石の偽者に仕立てて江戸の町のヒーローにしてしまう。仕官の道も無く死ぬしかない赤穂浪士たちも江戸の庶民に人気の大石を奉じるべく突き上げるのだが、大石は意外な策を秘しており・・・

■奇抜な発想による忠臣蔵異聞で、発想は悪くないと思うのだが、変に犬人間などという設定を設ける必要が感じられないし、普通に大石を主人公とし、彼らを操って武家社会に対する屈折した想いを遂げようとする天野屋の野望と対峙させれば、スーパー時代劇として結構面白いものになったはずだ。

橋本じゅんなんて、主役が務まるのは舞台ならではだし、逆に、藤木直人は映像で観ればそれなりに美形だが、舞台では全く木偶の坊で、大きな欠点になっている。生瀬勝久は正直良いのかどうか判断保留とさせてもらうが、中島貞夫の「続大奥(秘)物語」の西村晃を想起させるおいしい役だ。作者のイメージの源泉は多分、この映画にあるのではないか。

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