7つの贈り物 ★★★☆

SEVEN POUNDS
2009 スコープサイズ 123分
ユナイテッドシネマ大津(SC6)

■税務署の職員と名乗る男は、様々な困窮する人々のもとを訪ねて身辺を探ったり、かと思えば身障者に暴言を吐いたりという謎の活動を続ける。彼を駆り立てるある計画とは・・・
■原題の”7ポンド”というのは、「ベニスの商人」を下敷きにしている。ある意味で非常にえげつない贖罪の物語で、いわゆる”いいお話”ではない、異常な強迫観念に取り付かれた男の物語である。
■前半の1/3ほどは主人公の行動の意味合いが多義的で、物語の目標地点が定まらない感じで観客を困惑させるのだが、ヒロインのロザリオ・ドーソンとの恋愛が軌道に乗るあたりからは主人公にも感情移入が可能となる。そして、主人公の真の計画がそれとなく明らかになってゆき、その計画の完結の姿には、素直に圧倒される。
■近年のウィル・スミスの良い人キャラを逆手にとって、贖罪のためにエキセントリックな計画を実行する異様な人間像に説得力を持たせる。人はいかに贖罪を果たすことができるかというテーマを、極めて即物的なアイディアで描いたところがアメリカン・テイストだが、よくできた脚本だ。グラント・ニーポートによるアイディアストーリー。
■ついでに言っておくと、クラゲ映画の秀作でもあるので、「宇宙大怪獣ドゴラ」や「アカルイミライ」のファン(?)は必見ですよ。カフェFXによるCGクラゲが大活躍するよ。

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