Blue Jasmine
2013 スコープサイズ 98分
DVD
■ウディ・アレンがケイト・ブランシェットにアカデミー主演女優賞をもたらした傑作という本作だが、個人的にはあまり感心しなかった。要は非常に救いのない話で、クライマックスの真相にしても、それ自体がカタルシスをもたらすような種類のものではなく、いっそう彼女を追い込むだけで、ヒロインの人間像にしても単に精神的におかしい人としか思えない描き方。ケイトさんの演技にしても、いつもの彼女の雰囲気とは真逆なオーバーアクトで、映画的演技というよりも、舞台的。
■そのそも『欲望という名の電車』を下敷きにしているらしいが、『欲望〜』自体面白いとは思わなかったし、グロテスクな話という以上にどう面白がれば良いのかわからなかった。本作はどうもいつものウディ・アレンの落語映画とは全く違う世界を目指したものらしい。
■ケイトさんファンとしては、演技的にも満足できないし、ひたすら意地悪くヒロインを追い込み、何の救いもないお話には乗れないこと夥しい。
■そもそも、彼女の妹の住居というのがシングルマザーの貧乏所帯という設定なのに、どう見ても日本では中流以上の生活様式に見えてしまうし、お洒落に見えてしまう。単純に撮影のルック構築を間違っていると感じる。普通に、現在の落ちぶれた境遇の場面は寒々としたタッチで描かないと、過去の虚飾の場面と対比が生きない。
