狼たちの処刑台 ★★★☆

HARRY BROWN
2009 スコープサイズ 103分
DVD

狼たちの処刑台 [DVD]
■ロンドンの公営住宅の荒廃とスラム化、不良少年のマフィア化に対して孤独な復讐を試みる老人(マイケル・ケイン)の姿と警察の無力を描いた自警団映画の佳作。最後には公営住宅が暴動状態に突入する。
■IRAと戦った経歴のある元海兵隊員という、普通のおっさん、実はワンマンアーミー映画の常道的な設定だが、マイケル・ケインがほんとうによたよたと息も絶え絶えに戦う姿が素敵だ。当初はもっとリアル志向なのかと思ったが、アクションが動き出すと、マイケル・ケイン、かなり爆ぜて、殺しまくりだ。
公営住宅のスラム化というリアルで切実な素材を扱いながら、不良少年と主人公以外の住民たちの生活のありようがあまり描かれないのがもったいない気がしたのだが、麻薬の取引とか銃の密売とか、ほんまに恐ろしい荒廃ぶり。中盤の銃の密売人のアジトの場面など、絶望的な退廃感がよく表現されていて、主人公の暴発に近い凶行に説得力を与えている。昔、戦ったIRAには主義主張があったが、現在の少年犯罪者たちはただの粗暴犯に過ぎないというあたりにも世代間の断絶がリアリティを持っている。