大決戦!超ウルトラ8兄弟 ★★

LIGHT IN YOUR HEART ウルトラマン限定盤
大決戦!超ウルトラ8兄弟
2008 ヴィスタサイズ 97分
MOVIX京都(SC10)
脚本■長谷川圭一
撮影■高橋創 照明■武山弘道
美術監督■大澤哲三 美術デザイナー■稲付正人
音楽■佐橋俊彦 CGIスーパーバイザー■渡部健司
VFXスーパーバイザー■斉藤隆明 エフェクトスーパーバイザー■藤下忠男
監督・特技監督八木毅

■とにかく映画全体が安普請で、観ていて寒々しいことこの上ない。パナソニックが協力なので、ヴァリカム撮影らしいが、発色の悪さは衝撃的ですらある。登場人物の肌色はくすみ、レナの唇は土気色である。ヴァリカムの映画導入から既に6年が経過するというのに、この体たらくは何だろう。ヴァリカムは阪本善尚でなければ使いこなせない代物なのか?
■TYO統合前の旧円谷プロ最後の映画で、ミニチュアセットにもそれなりに力が入ってはいるが、要は撮り方の問題で、テレビシリーズと大差なく、映画のミニチュアワークのレベルにはぜんぜん達していない。ではCGが秀逸かといえば、妙に作りが安く、冒頭の竜巻の場面など、20年前のCGかというレベルだし、ほとんど全ての特撮シーンについて疑問が残る。日本映画の最低水準は「小さき勇者たち」と心得るべきであり、本作などは日本映画に対する一般的な評価を低下させるものだ。特技監督菊地雄一にしておけば、安い割には見栄えのするミニチュアワークを見せてくれたはずだ。
■とはいえ、登場する怪獣がゲスラはまだましとして、パンドン、シルバゴン、ゴルドラスという、華の無い連中では、怪獣のキャラクターに依存する円谷プロ特撮が映えるはずがない。さらにいわゆるラスボスとして登場するギガキマイラという超巨大怪獣は、登場怪獣がすべて合体したというバカなデザインで、発想は小学生レベル。ほんとにこうした知恵のないドラマツルギーは根絶しないと日本映画の低脳化は阻止できないぞ。
■なぜか興行的にはヒットしているようなので、心置きなくこき下ろしておくが、長谷川圭一のウルトラ映画ファンタジー化路線には全くついていけない。リアル路線の「ULTRAMAN」が全く興行力を発揮しなかったので、ウルトラシリーズの自己言及的ファンタジー、言い換えれば自家中毒的なファンタジーで生き残るしか道が無かったのだろうが、それは円谷プロとしては自滅に至る道だ。
■ダイゴとレナが登場するとそれだけで目頭が熱くなるのだが、意外にもアスカとリョウのカップルに胸を打たれたのは何故だろう。つるの剛士斉藤りさが並んでいるだけで泣けるのはなぜだ。

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