テレビドラマ雑感=2008/7/7=

■今になって気づいたのだが、いつからテレビドラマは1クール(13本)の入れ替わりの季節モノになってしまったのだろうか。かつて、テレビドラマは4クール(52本)が常識で、1クールなんて、よほど人気の無いドラマが打ち切りにされる時くらいしかありえないことだったのに。或いは、特に大きな予算をかけた特別なドラマくらいだったものだが、何時の頃から、かくもコロコロと慌しく入れ替わるようになったのだろうか。
■横目でちらちらと、駄作としか言いようの無い「CHANGE」を見ながら書いているのだが、こんなドラマは、半年とか一年間とか見続けるから、感情移入が進んで感動できるものなので、たった13本で語りきろうとしても、粗筋ドラマにしかならないのだ。近年のテレビドラマの欠点が分かりやすく露呈している。
■だいたい、テレビドラマは、シリーズ開始時点はふらふらと腰が定まらないもので、半年、一年作り続けるうちに、加速がついて、思わぬ大成長を遂げてしまう可能性があるから面白いわけであって、はなから13本のミニシリーズであれば、当初からよほど構成を完璧に作っておかなければ、感動を呼ぶドラマにはなりえないのだ。僥倖による加速が付かないことを前提に完成度を高める方向に向かうしかないからだ。
■これも片目で観ていた「ラスト・フレンズ」の収拾のひどさも、同じことが言える。浅野妙子の脚本は悪くないときもあるのだが、これはかなり酷かった。たぶん、作家としては違う展開を用意していたのだが、局の圧力で捻じ曲げられたということなのだろう。あんな脚本を書いてしまうと、作家のプライドと良心が激しく傷ついて、自殺したくなるはずだからだ。
■とにかく、大したアイディアも意欲も無いのに、三ヶ月ごとにドラマを入れ替えるのは止めなさい。一つづつのドラマをもっと大切に育てることに努力しなさい。モノを作ることに、いくらかでもプライドが残っているならば、今からでも遅くは無いのだから。

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