THE LAST KING OF SCOTLAND
2007 スコープサイズ 125分
TOHOシネマズ二条(SC4)
スコットランドの医学校を卒業したニコラス(ジェームズ・マカヴォイ)は広い世界を求めてウガンダの僻村に医師として赴任し、クーデターによりウガンダの大統領となったアミン(フォレスト・ウィティカー)と偶然知り合い、主治医に取り立てられる。大統領の個人的な顧問としても活躍するようになったニコラスだが、アミンの政敵や側近たちが次々と消えているという情報を耳にする・・・
その昔、”人喰い大統領”として世界中の耳目を集めたアミン大統領をフォレスト・ウィティカーが演じてアカデミー賞主演男優賞を獲ってしまった本作は、ショッキングな残酷描写は控えめに、事実に基づいて製作されたようだ。しかし、ラスト近くには満を持して(?)ストレートな残酷場面があるので、一応覚悟をしておいたほうがいい。「悪魔のいけにえ」ファン垂涎といえるだろう。どちらも史実の映画化というところが、人間の本性の中に地獄が封じ込められているということを示す。
「ナイロビの蜂」と同様にアフリカの過酷過ぎる現実には縁遠い暢気なイギリス人がアフリカの現実に否応無しに巻き込まれて、その血なまぐさい抗争のメカニズムに押しつぶされようとする様をじりじりと描き出すのだが、フィクションながら(ゆえに?)作劇としては「ナイロビの蜂」に大きく水をあけられている。後半、イギリス領事館に救いの手を求めて赴くが、自業自得だと冷たく拒否されるあたりのリアルな肌触りはなかなか巧いのだが。
生来の小心さから疑心暗鬼に駆られて自分の意に染まぬ者をすべて抹殺せずにはいられないアミンという男の心に潜む地獄の普遍性にまでこの映画は達していない。