日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声 ★★★☆

日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声
1950 スタンダードサイズ 109分
DVD
構成■八木保太郎 脚本■舟橋和郎
撮影■大塚新吉 美術■桂長四郎
照明■中山治雄 音楽■伊福部昭
監督■関川秀雄

日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声 [DVD]

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岡田茂が実質的に企画・製作して大ヒットを飛ばして東映の基礎となったといわれる日本映画史上の重要作品。東映はまだ創立前なので、東横映画の製作。何しろ昭和25年の製作なので、生還した学徒兵や帰ってこなかった学徒兵の親族等の観客層がこぞって鑑賞したに違いない。その訴求力ある企画は岡田茂の嗅覚によるものだろう。なにしろスターは出演していないし、活劇としてのカタルシスもなく、所謂正真正銘の反戦映画で、まったく楽しい映画ではない。しかし、彼ら学徒兵の気持ちを訴えなければならないという強い責任感、義務感から製作された、当時必要とされた映画には違いない。
インパール作戦の敗走のなかで、撤退した部隊も全滅するし、残された傷病兵も次々と手榴弾で自爆して、みんな死に絶えてしまう様子を学徒動員兵を中心に描いて、学徒兵ゆえの悲惨さを伝える点がこの映画のユニークなところ。当時の学徒兵は完全にインテリ・エリート層であり、信欣三演じる助教授による東大でのモンテーニュに関する講義を延々と見せるなど、後のブルーカラーを主な客層とする東映では到底考えられない。所謂人情に訴えたお涙頂戴の演出もなく、後の東映の礎となった映画が、これほどインテリ左派に寄り添った映画であることは意外な感がある。実質的には独立映画にしか見えないわけだが。(続く)

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