感想
■古城に難儀な長男クルト(クリストファー・リー)が帰ってくる。むかしSM趣味で爛れた関係を結んだ女ネヴェンカ(ダリア・ラヴィ)は、弟の妻になっていた。女を責め苛むクルトだが、或夜誰かに殺されると、その亡霊が現れて、夜な夜な彼女を打擲するようになる。。。
■マリオ・バーヴァの代表作で、『呪いの館』に比べると、金も時間もかかっているオーソドックスな作り。ステージセットが垂涎ものの重厚な作りだし、照明もオーソドックスで陰影の彫りが深い。見事な人工美。もちろん、原色の照明効果が駆使されているけど、基本的にはオーソドックスな技法によっている。急速ズームとか、往復ズームも少し出てくるのが、マリオ・バーヴァらしいところ。
■とにかくゴシックな雰囲気描写が並の怪奇映画三本分くらい詰まっていて、正直中盤はお話が進まないのでダレる。同じような怪奇シーンが延々と続くので、さすがに飽きる。昨今の怪奇映画なら、せいぜい2シーンくらいしか設定されないような、ナイトウォークの場面が、延々と続くのだ。ここが自慢だから、見て!見て!という演出姿勢。実際、美術も照明もキャメラも絶品なので、好事家には堪らないのだけど、とはいえ、ずっと同じ調子だと、人間飽きますわな。ほんとにこういうのは、メリハリが重要なので、本来なら再構成が必要なところで、そこは露骨な弱点だ。その意味で、後の『呪いの館』の方が、より低予算なのに、完成度は高い。
■本作のクリストファー・リーは明らかに『血を吸う眼』の岸田森に影響していて、田中文雄も山本迪夫もきっと観ているだろう。それにダリア・ラヴィの表情が素晴らしくて、これがあるから、監督はずっと彼女を見せたい、見ていたいと思ったのだろう。演出に対する反応性というか、立体的なオブジェとしての彼女(の骨格)に惚れたのだろうな。実際、現場で監督は照明効果に異常にこだわり、演技面にはあまり熱心ではかったらしい。さもありなん。

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