でっかいでっかい野郎 ★★☆

でっかいでっかい野郎
1969 スコープサイズ
BS2録画

脚本■野村芳太郎、永井素夫
撮影■川又昂 照明■三浦 礼
美術■重田重盛 音楽■林 光
監督■野村芳太郎


 熊殺しの松と異名をとる風来坊(渥美清)が院長(長門裕之)が保護司を務める北九州の病院に居候することに。”無法松”に擬せられて有名になるが、彼が本心で慕っているのは院長婦人(岩下志麻)ではなく、事務員をしている娘(中川加奈)のほうだった・・・
 物語の構造が徐々に明らかになる前半部分は快調だが、片思いの娘のキューピット役になろうとする後半は、すっかり寅さんそのままで、ラストも投げ出したような唐突な終わり方なのは、そうした作劇に限界を感じたせいだろうか。
 中川加奈というあまりなじみの無い若手の女優と渥美清の無理やりなコントラストが妙なリズム感を生み出して、悪くはないのだが、渥美清のキャラクターが既に固定化されているために窮屈感が否めない。
 脇役は長門裕之をはじめ顔ぶれだけで楽しく、定年退職を渋る伴淳三郎を巧みに懐柔する加藤嘉など、さすがに巧い。

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