その場所に女ありて ★★★★

その場所に女ありて
1962 スコープサイズ
BS2録画
脚本■升田商二、鈴木英夫
撮影■逢沢 譲 照明■隠田紀一
美術■竹中和雄 音楽■池野 成
監督■鈴木英夫


 広告会社のOL(司葉子)は製薬会社の新製品の広告のプレゼンでライバル社の二枚目(宝田明)と競合し、体の関係を持つが、彼は実は卑怯な策略を巡らせていた・・・

 簡単にあらすじを書いてしまうとそんな内容になってしまうが、実は社会進出した女性たちの置かれた立場や限界や焦りをヴィヴィッドな台詞の応酬で描ききった女性映画の傑作である。ほとんど現代でも通用しそうな、これほどリアルな女性映画が昭和37年に撮られていたことに単純に驚嘆する。 

 升田商二という脚本家は聞いたことがないのだが、誰かの変名なのだろうか。あるいは女性脚本家ではないかという気もする。これほどストレートに歯切れのいい台詞を書く脚本家は全盛期の山田太一くらいしか知らない。

 司葉子という女優の凄さは成瀬の「乱れ雲」で初めて認識したのだが、鈴木英夫の「非情都市」や本作を見ると、既に実力派女優の貫禄を身に着けていたことがわかる。また、「非情都市」の三橋達也の例にもあるように、鈴木英夫の演技指導は卓抜したものだったようだ。

 また、働く女性の孤独と誇りを微かな憂いを秘めた楽曲で慰める池野成の音楽も絶品で、楽曲の印象が映画の方向性を大きく決定付けている。映画音楽の作曲家としてもっと評価されるべきだ。

 あまりに古風なタイトルのせいで大きく損をしているが、東宝の女性映画の歴史を再認識させるに足る文句無しの傑作である。


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