大好物だけど、さすがに捻りが足りないよね!田中文雄著『邪神たちの2・26』

■2・26事件の背後にクトゥルフの邪神復活を阻止する秘められた目的があったという伝奇小説。そのキーマンは、魔人、北一輝だ。皇居の上空にその兆しとなる暗雲を察知していたのだ。討伐目標は、皇居で邪神の影響を受けた重臣たちだ。さらに、警視庁長官は、警視庁の地下空間に邪神とのチャネルをもっているらしい。

■当然のように(?)出口王仁三郎と北一輝が共闘し、でも王仁三郎は事前に大本大弾圧で脱落。最後のほうには石原莞爾も出てくるよ。そうそう、ラヴクラフト本人も登場するのだ。北一輝は当然天皇ではない、さらに超越的な存在天帝(北極星)を崇拝していて、その最期に「天皇陛下万歳」は叫ばない。作者は佐分利信の『叛乱』の印象が強いと述懐している。
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■ただ、物語としてはドラマ性に工夫がなくて、さすがに苦しい。かなり大雑把な作りで、捻りがないよね。田中文雄は東宝、東宝映像のPで、趣味性の高い怪奇映画の名作を残したけど、怪奇幻想小説も短編に良いのがあるのだ。短編の方に本領がある気がする。

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