法廷物だけど、ありきたりの「定食ドラマ」じゃないよ!NHKドラマ10『テミスの不確かな法廷』(全8話)(ネタバレあり)

■2026 テミスの不確かな法廷 ★★★☆
制作統括:橋立聖史(ランプ)、神林伸太郎(NHKエンタープライズ)、渡辺悟(NHK) 原作:直島翔 脚本:浜田秀哉 演出:吉川久岳(ランプ)、山下和徳、相良健一、富澤昭文

■発達障害を持つ裁判官を主人公として「法廷もの」を創るという意欲作。まあ、原作物だけどね。最近のNHKのドラマは、こうした「人権啓発もの」が大変興隆していて、じっさい内容的にも良いものが多い。当然民放ではなかなかできないテーマに踏み込んでいる。NHKの報道班はかなり腰抜けだけど、ドラマ班は相当に攻めているのだ。

■基本的に「刑事ドラマ」とか「法廷ドラマ」とか、もういい加減食傷なので、「定食ドラマ」は観る意味が無いと思っているけど、NHKの場合はさすがにちょっと新鮮な視点が入っているので、侮れない。なにしろ、『むこう岸』『宙わたる教室』の制作チームなので、誠実な仕事には定評がある。

■松山ケンイチはちょっとやりすぎな気はするけど、助演の鳴海唯は良かったね。こんな人がいるとは知らなかった。ただ、見た目に特徴がないのが惜しい。せっかく演技ができる人なのに。さいきんの若手俳優は、ほんとに見た目に特徴がなくて、心配になるのだけどね。輪郭も、顔のパーツの配置も、体格も、なんだかもう判で押したように同じところを目指しているように見えるのだけど、それって進化の帰結?

■各話のゲストに、これまで『むこう岸』『宙わたる教室』で好演した若手俳優が起用されていて、正直役不足だろ!と思うけど、贅沢ですね。伊東蒼なんて、これだけのために呼んだのか。

■発達障害のある主人公が、父親から「宇宙人」とまで呼ばれて、この世界に居場所がないという感覚に囚われたとき、運命的に(というか必然的に)「六法全書」に出会い、これがこの世界で生きてゆくルールだ、ここに全部書いてあるから、これを頭に入れれば、この世界で生きていくことができる!と直感するところは、実に感動的な瞬間で、いままでそんな話見たことがない。よく考えついたな!このエピソードで、このドラマは成功が約束されたようなものだ。

■ただ、主人公の父親、次席検事が殺される終盤の大展開は、正直やりすぎだと思う。原作由来だろうけど、正直、もっと地道なスケールに収めるべきだと思うなあ。冤罪事件の再審請求というテーマ自体は、まったく昨今の報道班の腰抜けぶりを嘲笑う立派な企画で感服したけど、それも原作由来かな。でも、この時期によくやったな!
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■登場人物が、リアルな「人間」じゃなくて、やや「キャラ」よりになっているのがちょっと心配な塩梅だったけど、まあそれは些細な瑕ですね。ちなみに原作者の直島翔て、嵯峨島昭(=宇能鴻一郎)みたいなやつ?

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