基本情報
妖僧 ★★☆
1963 スコープサイズ(モノクロ) 98分 @アマプラ
企画:原田光夫 原案:八尋不二 脚本:相良準、衣笠貞之助 撮影:今井ひろし 照明:加藤博也 美術:柴田篤二 音楽:伊福部昭 特殊技術:黒田義之、森田富士郎、美間博 監督:衣笠貞之助
感想
■奈良時代末期、山岳仏教を極めた謎の行者・道教(市川雷蔵)は数々の奇跡を起こし、ついに足萎えの女天皇(藤由紀子)を快復させると、彼女のはじめての男となる。破戒行為を仏教者として苦悩する道教だが、女天皇の名代として君側の奸の悪政を追求、排除し始めると。。。
■巨根伝説のある弓削道鏡を市川雷蔵が演じて、どうなることかと心配するけど、ちゃんとメロドラマになりますよ。当たり前だけど。でも、長髪の雷蔵は珍しくて、しかも妙に色っぽいので、男が観ても、ウットリする。ホンマに似合うなあ。憧れ。。。
■女天皇が足萎えなので、その弟を奉じてクーデターを企てるのが太政大臣の若山富三郎で、中盤の見せ所。でも失敗して排除されると、後半の悪役は小沢栄太郎と稲葉義男にチェンジする。日陰者ゆえの野心だと、小沢が弟宮を切り捨てるあたりは、なんとなく二・二六事件の秩父宮をイメージしているよねえ。というか、絶対にそう。意外と、野心作ではと感じた瞬間だ。
maricozy.hatenablog.jp
■後半は、君側の奸たる重役たちに不満を持つ若い革新官僚達(小林勝彦ほか)が道教の奴婢解放などの理想論に共感して、神輿として担ごうとする展開も、なかなか興味深くて、意外にも政治劇として意欲的なのだが、最終的には単純なメロドラマにとどまり、おそらく当初あったはずの政治劇としての野心は霧散した。
■道教を改革の旗印として担ごうとするけど、企てが潰えて、ある者は転向して老人たちに恭順を誓うし、ある者はあくまで反旗を翻して無惨に圧殺される。そんなリアルな後日談が想定されていたはずなのになあ。なにしろ、永田雅一総指揮の芸術祭参加映画なので、そりゃ無理だわなあ。もともとが無理筋。きっと雷蔵がいちばん残念がったことだろう。
■なお、冒頭の小規模な特撮シーンのために実力派スタッフを駆使していて、さすがは大作。嵐のミニチュアワークもあるけど、法力で鼠が一瞬で骨に変じて、そのまま走り去るという珍しいカットも、さすがに凝った手法だ。さすがに、モデルアニメは使っていないけど。
