■京都ぶんぱくでも特集上映があったけど、結局一度も行けず、懺悔の気持ちで本書を読みました。というのは嘘で、京都国立近代美術館で野村芳太郎の『東京湾』を見たときに、著者の講演を聴いていて、それで読んだのですね。正直、講演はオミットしようかと思ったけど、聴いてよかった。本書は著者の博士論文がもとになってます。京大の映画研究分野で同様のケースは以下のようなものがありますね。未読だけど、必読。読みます、絶対!
■最近、CD音源で芥川の純音楽、映画音楽を聞いてますが、師匠の伊福部昭の影響の大きさも聴きどころだし、オリジナリティとポピュラリティの部分も、さすがに聴き応えがあります。正直、純音楽より、映画音楽のほうが聴きごたえがあって、読書のBGMにもピッタリです。松竹の『八つ墓村』は当時、FMで録音してさんざん聴いたなあ。美メロの名曲です。『野火』とか『影の車』とか、市川崑の傑作群とか、他にも名曲が多いのだ。
■感心したのは「3人の会」の分析で、黛敏郎、團伊玖磨とのトリオ(分業体制?)は、京都で構想され、映画音楽においてその真価を示した、という部分ですね。映画音楽の担当を三人で共有していた、融通していたという事実が、かなり斬新でした。担当映画リストを見ると、確かにそうなんですね。映画会社の発注側もそれを見越して「3人の会」に振っていたのかも。いまだにデータベースが間違ったままだけど、東宝の『雪国』の音楽が芥川也寸志から團伊玖磨に交代していたのも、芥川が忙しかったからというのは、実に愉快な発見。つまり、この3人が担当した映画音楽は、相互に置き換え可能だった可能性がある。映画会社も、この人のこの曲想で!というよりも、3人なら誰でもいいや!という気持ちがあったのかも?それにしても、曲想がだいぶん違うけどなあ。『君も出世ができる』を團伊玖磨ができるとは思えないもんなあ。(なんで黛敏郎?とも思うけど)
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■文豪の三男で、美男だし派手に活躍した人だけど、若い頃には結構貧窮していて、意外に考え方が後ろ向きで、水木しげるが好きだったという、変な人なのだ。その人間性のユニークさも注目に値すると思うけど、それはまた別の話。


