感想
■吉積めぐみという若くして死んだ助監督の視点から若松プロの青春時代を眩しく描く、バックステージ物の青春映画で、かなりいい映画。
■そもそも若松孝二の映画は観たことがない。けど、名前も人脈もなんとなく知っているから、60年代末から70年代に入る時代背景の中で、映画に何かを託した若者たちが生き急ぐさまは、普遍性がある。と思うし、映画人がみんな実名で登場するから、それだけで興趣は尽きない。
■まずは、若松孝二を井浦新がモノマネ的に演じて、それでも、非常に魅力的に見えるから、大成功。やくざあがりの映画人で、「金」と「受け」を常に意識しつつ、それでも既成の映画には収まらないものを求め続ける謎の映画怪人。いわば、香具師とか山師の仲間なんだろうな。芸術家ではなく、映画興行の原点に繋がっているのだろう。京都の古い映画人と似ているんじゃないか。
■大島渚と創造社メンバー(佐藤慶や渡辺文雄!全然似てないけど)と高級クラブ(?)で飲む場面も可笑しくて、佐々木守の書いたジャミラの話は傑作だったとか語っていて、この脚本は基本的に取材して書かれているので、実際に当時そんな会話があったのだろう。テレビで稼いだ泡銭で奢りだ!の大島の台詞は爆笑。でも大島渚を演じる高岡蒼佑はいまいちだなあ。カリスマ性がないよ。胡散臭さはあるけど。
■そしてちょうどミッドポイントで登場するだけで笑わせるのが荒井晴彦で、当然本人しらんけど、ああこんな感じだろうなあと納得させる、藤原季節の好演で、ホントに鬱陶しい感じが秀逸。それでいて、なにげに才能があって、若松孝二に認められるし、足立正生にも頼られるから、先輩のめぐみは引け目を感じる。心理的に追い込む。その嫌な存在感が、絶妙と言っていい。
■それにしても一番やりきれないのは、高間賢治(ホントは平成ガメラでキャメラを廻すはずだった人)だと思う。めぐみは、ホントは足立正生にずっと惚れているのに、なりゆき(?)で高間と関係するし、彼のいない間に自死してしまう。彼の子をお腹に抱えたまま。残酷過ぎる。よく映画化を認めたと思うよ。偉いなあ。
■主演の門脇麦て、ほぼ知らないのだけど、これも非常に良かったね。演技のニュアンスが河合優実に似ているけど、まあどっちが先だ?ていう話。なんで死んだのか、死ななければならなかったのか。それはこうしたお話の常で、分かんないもんですよ。実際に分かんないから、分かんないものとして描くしか無い。だからそこを追求しても、何も出てこない。ゆえにどうしても肩透かしな印象は残るけど、実際の人生がそんなもんだから、仕方ない。
■そうそう、インターナショナルが嫌いで、革命は貧乏人にはできないんだ、成功した革命家はみんな金持ちなんだ、貧乏人は革命兵士になって殺されるのがオチだよという若松の言い分は、妙に腑に落ちました。勉強になるなあ。
