基本情報
Lust for Life ★☆
1956 スコープサイズ 122分 @NHKBS
感想
■たしか、劇団民藝の『炎の人 ゴッホ小伝』をDVDで観ていて、さすがに見応えがあったので、映画も気になっていたのだけど、映画は、実に単調な伝記映画で、劇的な高揚がありませんね。かなり退屈な映画で、しょんぼり。
■これを見ると、三好十郎の『炎の人』が劇的に濃縮した舞台だったことがよくわかりますね。主要な劇的要素はほぼ網羅されていて、しかも各場面が劇的に昇華されている。当たり前だけど。映画だと、単なる生来の精神病質の人が芸術的には成果を出しながらも自滅してゆくだけの話に見える。つまり、テーマとか作劇に普遍性が感じられないから、一般の観客が見て、自分事と捉えられない。そこを脚本家は工夫すべきなのに、その細工がない。ゴッホの絵を使用する許諾を得ることに全精力を使い果たした風情だ。トホホ。
■唯一ビビッときたのは、弘田三枝子の名曲「燃える手」の元ネタがゴッホだったことを知ったことで。狂気歌謡の名作「燃える手」はなかにし礼が詩を書いたけど、いったいどこからそんな発想が?とずっと疑問だった。でも、この映画を観たんですね、きっと。名曲に描かれた、男に捨てられる女の未練の狂態は、ゴッホの狂気をそのまま援用していたのだ。まあ、それにしても凄い詩だけどね。
