■純粋にホラーとしての道具立ては実はあまり斬新ではなくて、ありきたりと言っても良い。霊媒師なんていかにもありふれている。
■一番の美点は、「子ども」を巡って登場人物たちが様々な異なる感情と意見を持っていて、対比されているところ。特に、田原夫婦の育児を巡る不穏な気持ちのすれ違いは、よく描いたと感心する。この視点が本作の成功の肝だと思う。田原夫婦に対して、オカルトライターと霊媒師の真琴のカップルを対置したところも作劇として成功したポイント。ただし、第2章までね。
■筆者は、純粋にホラーのギミックとかアイディアではなく、お話の構成、ストーリーテリングが非常に上手いようだ。それでグイグイ読ませるし、サスペンスとケレンが利いている。ロジックは全然リアルじゃないのにだ!
■ただし、第3章になると一気にダークファンタジー活劇に転調して、ありきたりな活劇展開に収束してしまうのは勿体ない。近年の長編ホラーの場合、どうしてもそうなってしまうのは、ある意味ジャンルの宿痾だけど、正直第3章は、映画の改変の方が優れていた。そもそも、三重県の辺境に山間に巣食う、ある意味超ローカルな魔物「ぼぎわん」がどうしてそんなに特別に強大なのか、腑に落ちないけど。
■連続で、横溝正史ミステリ&ホラー大賞受賞作を2作読んだけど、さすがに大人の鑑賞には厳しいので、ちょっと路線を変えようかと思う。やはり、古典名作を優先すべきかと。ハガードの「鳩は地獄から来る」は必読だろうな。
