きっと思ってたのと違うよ!原浩著『火喰鳥を、喰う』(ネタバレあり)

■映画も近々公開される本作ですが、若者向けのありきたりのホラー小説と違う雰囲気があり、試しに読んでみました。まあ、ええ歳した大人が読んで、どうこうという小説ではありませんけどね。

アジア・太平洋戦争中のパプアニューギニアのジャングルでの曹長の生への執着をどこまで書けるのか?小説技術的には確かにかなりの手練れだと思います。ただ、ホラーではなく、ファンタジーですね。ミステリーでもない。作者の措定したゲームのルールに従って、現実とは離れて展開するお話。

■こうしたダークファンタジーとか、ファンタジーよりの怪奇ものは昔からあって、マシスンとかブロックも書いていた。なので、そんなに新しい気はしない。ゲームのルールも相当に粗雑で、こんだけ?という設定。説得力というか、納得感はないので、ご都合主義に見える。唯一、斬新なのは火喰鳥を象徴として使ったところで、ここだけ禍々しさが際立つので、かろうじてホラーに見える。従軍日記とか、削られた墓石とか、怪異自体にホラーとしての魅力がないのは痛いけどなあ。

■でも、うまくシナリオを作れば、ブラムハウスのホラーみたいに成功する可能性はないではない。あれも、かなりファンタジーの文法が入り込んでいるから。どんな切り口で映画化するかだね。

■ちなみに、言葉遣いが妙に年寄りくさい部分があり、あまり使われない漢語が時々出てくる。「鎮座」とか言い出すと、AIが生成したのかと疑いたくなるんだけどね。普通の小説でも、そうそう使いませんからね。でもなぜかよく使うんですよ、AIは。

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