吸血鬼も幽霊も出ないよ! 結構強引な合せ技だった『吸血鬼ボボラカ』(2周目)

基本情報

Isle of the Dead ★★★
1945 スコープサイズ 72分 @DVD

感想

■何度か観てるけど、久しぶりに再見。画質が悪いのが厳しいけど、これはジャック・ターナーの監督作に比べるとやはり少し格落ちするなあ。その原因は脚本にある。

■バルカン戦争後のギリシア人の将軍が主人公という、異様に凝った設定に、ベックリンの「死の島」をモチーフにして、さらにポーの怪奇小説「早すぎた埋葬」まで接合して、なんだかマニアック過ぎでは。嬉しいような、困惑するような。

■敗血症が蔓延する孤島で魔女探しが行われるという話に、生きながらの埋葬の恐怖をぶち込んだ、なかなか豪快な合わせ技は秀逸ともいえるし、ご都合主義にも見える。作劇的に心理サスペンスとしてはあまり成功していなくて、むしろ怪奇映画的叙情に頼っている気はする。でも監督のマーク・ロブソンも、締めるところは着実に怖がらせる。

■将軍の妻の墓が暴かれた件はほっぽらかしで、英国領事の妻がカタレプシーを恐れているという話にシフトするし、リュートンタッチの基本原則として、怪物も幽霊も登場しない。あくまでそんなもの気の所為なのだ。なのに、怪物や幽霊を観たのと同じ気分を味わえるという奇跡的な趣向は、ここでも健在。

■クライマックスの生き埋葬されて狂った領事夫人が殺戮を繰り広げるあたりは、誰が観ても納得の怖さと美しさ。薄衣を纏って、緩やかに風にたなびかせながら歩き回るだけで完璧な怪奇画になるという趣向。貞子さんが登場するまで(?)、これが定番だった。


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