基本情報
Kramer vs. Kramer ★★★☆
1979 ヴィスタサイズ 105分 @DVD
感想
■超有名作だけど、はじめて観ました。息子の親権を巡って訴訟になる家族を描く、子どもで泣かせる映画?かと思いきや、今観ても実にユニークな映画で、えらい渋い映画。
■いきなり妻が去って、男で一つでなんとか息子を育てていたら、ミッドポイントで、やっぱり子どもが欲しいと元妻が出てきて、裁判になるけど、という展開で、構成自体は非常にシンプルだし、描かれる各シークエンスのエピソードもシンプル。
■セリフは往年の技巧的に凝った洒落たセリフではなく、ナチュラルなもので、ロバート・ベントンがシナリを書いたけど、実際は現場でダスティン・ホフマンなどと議論しながらアドリブ的に盛り込んでいったらしいので、映画は構成がしっかりしていれば、セリフはかなり可変的なものという実証例になっている。まあ、ニューシネマだしね。作劇メソッドが革新されている。
■メイキングが非常に興味深くて、メリル・ストリープはジョン・カザールと死別した直後で、しかも次の結婚で妊娠中という人生の大波(激しい!)に揉まれている最中で、ウディ・アレンの『マンハッタン』と並行して撮影していて、こっちの現場はアドリブ要素満開で、現場の議論でセリフも平気で変わるのに、ウディ・アレン組は、セリフは句読点まで意味があるから、そのまま演じるように言われていたそう。おもろ!
■なんとダスティン・ホフマンも離婚調停中で、その経験も生かされたそう。その意味で、映画制作のバックグラウンド込みで味わうと非常に滋味が深い。現場でもアドリブを連発で、ワイングラスを壁にぶつける場面も現場の思いつきで、メリル・ストリープは知らなかったので、リアルなリアクションの記録映像になっている。まあ、アメリカ映画でよくある、物に当たる乱暴な仕草は、演技理論的にどうなの?と思うけどね。しかも、本物のワイングラスなので、今なら無理です。怪我します。
■こうした素材の映画で、お涙頂戴にしなかったのは、もともと地味な小品で大ヒットは目指していなかったためらしい。いい時代だったということかな。
