【シナリオレビュー】NHKで書けばいいのに!フジテレビヤングシナリオ大賞 市東さやか作『瑠璃も玻璃も照らせば光る』

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■市東さやかは看護士出身なので、脳梗塞の診断にこの古いことわざを使うことから、ドラマを発想したものだろう。主人公は高校演劇の照明係。主演女優は瑠璃だ。そこだけで、なかなか常人の発想と視点ではないと思うけど、さらに主人公にミッドポイントで「ヤングケアラー」の枷をかける。なかなか、鬼の所業。

■生方美久の『踊り場にて』に比べると、構成はシンプルでオーソドックス。視覚的なギミックはあまり強調されず、セリフメイン。小道具の使用も控えめだし、芝居の指定も少ない。

■「頑張れ」という言葉がモチーフで、通常うつ病の人には「頑張れ」と言ってはいけないことになっているのだけど、当然そんなことは承知の上で、自分は「一緒に頑張ろう」と言いたかったし、言ってほしかったと主人公が気づくまでのドラマ。ひとりひとりじゃなくて、一緒に背負っていけばいいんじゃない?というテーマを、そのままは提示せず、寸止めして、持って回って主張する。

■シナリオ作法の「語るな見せろ」の原則からは、かなり離れているけど、テレビドラマの場合は、それでいいんじゃない?という気もするんだな。事実(業界標準)上、そうなっているし。

■ただ、市東さやかはその後、フジのいわゆる「定食ドラマ」(死ぬ死ぬ詐欺の医療ドラマとか、紙芝居ミステリードラマとか、お涙頂戴ヒューマンドラマとか)がメインで、資質的にはNHKが似合っていると思うのに、もったいないことだ。オリジナル書かせてよ。

ヤングシナリオの傾向?

■『踊り場にて』と本作を読むと、いくつかの共通点が見て取れる。といっても2作しか読んでいないし、過去作はかなりバラエティに富むので、またまま似た傾向の作品が続いただけだろうけど。

■気持ちが漏れがち:気持ちがそのまま声に出ます。

■キーワードはとことん繰り返す:頑張る、諦める、こうしたキーワードを何度も繰り返します。分かりやすいね。

■タイトルはラストに出る:流行もあるでしょうね。

■高校が舞台:ヤングの青春なので王道。

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