■さらに、テキストを読むだけでなく、実際にシナリオを書くと、さらに理解が数等倍深まりますね。下手でも、書かないより、書いたほうが、ずっと映画の構成や成り立ちが、腑に落ちますよ。しかも、紙と鉛筆があれば、実作できる!参考文献だって、図書館で借りれば無料だ。玄人に見せて意見や評価を聴かないとプロにはなれないけど、映画の勉強をするために、趣味でシナリオを書いてみるというのは、大いにありだと思いますよ。(今なら、AIに書かせてみるというのもあり)
■本書は定評ある基本書で、必携。ただ、さすがに執筆時期が古いのと、物語構成の部分などは、シド・フィールドやブレイク・スナイダーが有意義で実践的な分析を出してくれたので、弱い。これだけでは、構成にコクのあるテーマを深耕する骨太のシナリオは書けないと思います。ただ、BS2どおりに構成すると、これもまたステロタイプなよくあるやつにしかならない憾みもある。
■新井一の提唱する「リトマス法」という考え方は非常に秀逸で、腑に落ちる。シナリオは登場人物の反応を描くので、誰かが何かを投げかけないとドラマが発生しない。なので、主要な人物を説明するために「起」の部分にだけ登場する人物などが発生しがちだけど、これは業界標準として古来許されているようだ。
■モチーフでテーマを肉体化する=つまり感情化するのだという考え方も、非常に理解しやすい。常にシナリオの基本は感情なのだ。いかに感情を発生させるか。感情の乗らない議論はドラマにならないけど、感情が発生すればどんなに難しい議論もドラマになりうる。
■「転」の最高調のところは「無言」であるべきとか、ドラマ表現の大きな武器なのでリアクションを書けとか、説明くささを避けるためには感情の場面を設定すればいいとか、日常生活の平凡な場面でも「対立」は描けて、性格や立場をはっきり表現すると視点や考え方が異なるので、自然と「対立」が生まれるとか、さすがに含蓄の深い良い実用的なアドバイスがいっぱいで、非常に役に立ちます。
