御老体の健筆が冴える!重厚な見応えの、NHK戦後80年ドラマ『八月の声を運ぶ男』

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NHK戦後80年ドラマ『八月の声を運ぶ男』★★★☆ 
原案:伊藤明彦『未来からの遺言 - ある被爆者体験の伝記』 制作:松本太一(WOWOW)、森井敦 作:池端俊策 撮影:田島茂、日下誠、照明:鳥内宏二 VFX:北昌規 美術:小出憲 音楽 - 清水靖晃 演出:柴田岳志

■長崎原爆の被爆者の証言を千人分集めると決めた男(本木雅弘)は、ある証言者(阿部サダヲ)を取材するが、証言内容に根本的な疑義が生じる。。。

■もともとWOWOWの松本太一が立ち上げた企画をNHKにプレゼンして成立したという不思議な経緯のドラマ。しかも、制作実務は東映京都で、京都のステージで撮影された。

■苛烈な原爆症をおった証言者の証言に、ちょうどミッドポイントで大きな疑問が生じるという機微なお話の転がし方も凄いし、今昔物語を例に出して、被爆者の証言とアナロジーを設定するドラマ構築も見事なもので、業界の大ベテラン、池端俊策の健筆が冴える。そこからの立ち直りに、石橋静河のホステスが絡むあたりも、うまいもので、だいぶ遅くに登場するから不利なはずの石橋静河が見せ場をさらう。ええで!

阿部サダヲも自分と同じ「八月の声を運ぶ男」ではなかったか?という結論もお見事で、文句がありません。相当に難しい役なので、阿部サダヲの演技がベストだったか、配役がベストだったかという点は、諸説ありますわな。

■ちなみに、美術の小出憲といえば平成ウルトラシリーズの美術の人(懐かしい!)で、撮影の日下誠も東映京都でよく見る技師さんの名前。しかも、撮影がかなり秀逸で、やけに質感が高いので、東映京都のあのステージで撮られたとは、全く思えない。ほとんど同じ時期にNHKは『シミュレーション』も同じステージで撮っていて、同様に東映京都には見えないから、凄いね!

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