■半身不随で生きてきた姉はなぜ死んだのか?誰が殺したのか?通称人恋坂を血に染めて、妹(?)が一族の秘められた罪をあぶり出す。。。
■なんといっても構成の妙で読ませます。怪談としての要素はある意味ステロタイプなものだけど、その組み合わせに話術の妙味があって、さすがに読ませる。エピソードの対比とか対置が、微妙なニュアンスや感興を呼び起こすという至芸。もともとの発想は、落語の怪談噺にあるらしいけど、どろどろとした陰惨なムードにならないのが、赤川次郎。あくまで、サラッとライトな筆致で書かれるけど、人間の嫌な、醜い心理が盛りだくさん。それも、赤川次郎の場合は、家族内で陰惨に揉めるパターンが多い。一番、嫌なやつですね。
■そもそも赤川次郎はシナリオライターとしてデビューしているので、小説も書き方が脚本のようなのだ。しかも、取材はしない(!)、固有名詞は極力書かない(!)、リアルを排除する、説明セリフは書かない(元脚本家の矜持!)等々の、独特すぎる意固地な(?)美学があって、小説作法としては軽視されがちだけど、かねてよりバカに出来ないと思っている。杖をついた女の登場場面など、完全にサスペンス映画の見せ方で、見事なもの。他にも、怪奇ロマンのここぞ見せ場!という部分は、各セクションの終末に置かれて、きちんと劇的な効果を上げる。このあたりの呼吸も、赤川次郎の怪奇趣味と映画趣味の発露だろうな。サクッと一気に読めるけど、堪能しました。
参考
maricozy.hatenablog.jp
『白い雨』はモダンホラーの秀作。




