アラフォーヲタク女子の拗らせた自意識を克明に腑分けする!NHK土曜ドラマ『ひとりでしにたい』

基本情報

NHK土曜ドラマ『ひとりでしにたい』 全6話
制作統括:高城朝子(テレビマンユニオン)、尾崎裕和 原作:カレー沢薫 脚本:大森美香 音楽:パスカルズ 撮影:柳島克己 照明:菊池貴志 演出:石井永二(テレビマンユニオン)、小林直希(テレビマンユニオン)、熊坂出

感想

■憧れのおば(山口紗弥加)が、孤独死して、浴槽で溶けた。孤独死に怯えたアラフォーヲタク女(綾瀬はるか)は、終活の必要性に直面する。折しも、ヒップホップダンスにハマった母親(松坂慶子)は熟年離婚を目論んでいるらしく。。。

■アラフォー女子の早すぎる終活ノウハウドラマというのが表向きのフックで、実際のテーマは、アラフォーヲタク女子の拗らせた自意識を解きほぐし、人生後半の生き方を再構成するというもの。原作漫画由来と思われる、自問自答の場面が多くて、漫画をそのまま脚本に起こせないので、脚本家がいろいろとテクニックを使って、映像化している。その工夫の跡が、涙ぐましい。

■鏡の中にもうひとり、ふたりの自分が現れるとか、説明的な長台詞を、小道具(マトリョーシカ、アイドルのグッズなど)を使って映像として見せようとしたり、シナリオ作法の基本書に書かれている通りにいろいろ、手を打っている。

■コメディとしてやれることは全部やる、恥ずかしがらずに!という掛け声(?)のもと、漫画のイメージをそのまま実写化して、滑る部分も多いけど、特に中盤のラップバトルの場面は、さすがに見ごたえがあり、何着ても見栄えがする綾瀬はるかは完璧なスタイルで、驚くべきことに日本人に見えないレベル!リリックの歌唱(?)の部分も綾瀬はるかは徐々に上達しつつあることを示すが、対する松坂慶子が最初からハイテンションでぶっ飛ばすのが凄い。声の通りがね。さすが、歌手。これは圧巻だった。

■「謎の妖怪」役で、麿赤兒が無言で出演。不思議コメディに出てくる変な妖怪かと思ったよ。まさか本人とは思わなかったぞ。

■ヲタクをリアルに描くについてNHKは妙に熱心で、本作もヲタクの心性を克明に描く。終活にかこつけて。ヲタクはいつも自分のことで手一杯で、自分のことしか考えられないという指摘は、まさにそのとおりで、胸が痛い。よくぞ描いた。指摘した。綾瀬に絡むハイスペック男子、佐野勇斗も、その根底に、両親による心理的DVを内面化していて、好きな女子を心理操作しようとするヤバい奴で、その厨二病的な心性をえぐり出す当たりも、なかなか圧巻。

■演出や映像はNHKの他の先進的なドラマに及ばないけど、よくもこんなに難しい原作を、その難しさを残したままドラマ化したものだと感心した。そもそも民放では絶対ムリな内容だし、やるにしても、もっと噛み砕くだろう。自意識の深奥に分け入るセリフ劇のその密度には感心した。情報量が多すぎて、一度観ただけでは、正直理解が追いつかないと思う。(実際、各話、二度観ました)

参考

NHKはヲタク好き!というか、局内にごろごろしてるんだろう。
maricozy.hatenablog.jp

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