基本情報
劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室 南海ミッション ★★★
2025 ヴィスタサイズ 115分 @イオンシネマ京都桂川
企画:高橋正尚 脚本:黒岩勉 撮影:? 照明:? 美術:? 音楽:羽岡佳、斎木達彦、櫻井美希 監督:松木彩
感想
■東京で成功したMER(走る緊急救命室)システムを全国展開するなかで、南海MERチームが組織されるが、開店休業状態で、中央政府では廃止の論調が出る始末。ところが孤島で火山噴火が発生、海保も自衛隊も間に合わない(仕事しろ!)ので、近傍にいた彼らが島民の救助に向かうことに。。。
■テレビは観ていないので、全くの初見。予告編が派手だったので、パニック映画のつもりで観たけど、なんのことはない、戦隊シリーズの亜種だったという驚き。サンダーバードとか、救急戦隊ですよ。そこに、フジの踊るとか海猿とかのヒットしたウケ狙いのエッセンスをぶち込んで、俗受け戦略で統一した、商売上等!の設定なんだけど、目論見通りに一般観客に訴求した。戦隊モノなのに。つまり、一般観客の興味関心レベルはそれくらいということ。いわゆるリテラシーの高いシネフィルには確実にバカにされる映画だけど、商売としての映画制作の参考にはなる。これくらいのベタな展開で、観客は目論見通りに泣いたり感動したりするのだ!これは、認知心理学の実験か?きっとそうに違いない。
■火山噴火は当然CGだけど、一部にはミニチュア撮影もあり、特撮研究所が担当している。ちゃんと戦隊シリーズに仁義を通しているのだ。SPADE&Co.が主担当のクオリティには疑問もあるし、全般にご都合主義なので、あまりサスペンスも盛り上がらないけどね。樋口真嗣とか神谷誠とか田口清隆とか、人材はいるのにね。
■島民救助に向かった南海MERはミッドポイントで意外にもあっさりと救出に成功し、火山島はあっさりと忘れ去られる(!)。海保や自衛隊と連携した燃える救出作戦を期待したのに、そこは完全に肩透かし。その後に、医療ドラマとしての定番の見せ場が用意されるけど、この手の医療ドラマはいわば死ぬ死ぬ詐欺で、ドラマ作法としては、本来邪道といえる。そもそも医療シーンは早口なので、何言ってるかわからないし、わかったとしても専門用語なので、理解できない。つまり、ドラマもサスペンスも生じない。雰囲気だけ。なんだか死にそうだし、血がどくどく出るので、なんだか大変!えらいこっちゃ!と単純に思ってしまう人間の原始的な心理を当て込んだ作劇で、手としては下の下。死にそうになってなんか大変だったけど、助かった!というそれだけのことしか描かれていない。
■もう少しリアル寄りの世界観かと思ったけど、実質的には戦隊モノと同等のフォーマットで、そのつもりで観ればいいのだと、最後まで観て納得はしましたけどね。でも、誰もそのことに触れていないのはなんで?
■それにこれも最近のテレビ発映画の悪い癖だけど、やたらと政府首脳とか高級官僚とかを出して、えらいことが起こっている風を装うけど、ホントに幼稚でお寒いのでやめたほうが良い。まったくリアルじゃないから。本作も、脚本も書けていないし、モブ(端役)の演出もひどい。ROBOTなどはこうしたジャンルの積み重ねがあるから、それなりに厚いモブシーンを作れるけど、大映テレビはそこは弱い。モブの演技もひどくて、いくらなんでも漫画レベル。助監督、もっと頑張れよ。『シン・ゴジラ』の前半は傑作だったよなあ。そういえば、女優陣がみんな同じ顔に見える、つまり同じような雰囲気の女優ばかり集めた(?)のもどうなの?単にPの趣味?(多分正解)髪の毛をオールバックにまとめると似て見えるもんだけど、それにしてもなあ。描き分けの工夫してよ。というか、するだろ普通。
■まあそもそも脚本じたいが、AIが書いたようなステロタイプな代物で、構成はホントにAIでできるレベルだし、セリフもAIが描きそうな説明セリフだったりする。でも、基本構成はできているから、決して悪い気はしないし、主演の鈴木亮平の出しゃばらない塩梅が意外に効いている。本作の実質主演は江口洋平だとちゃんと述べているからね。江口洋平も初参加で、どんな世界観か分からなかったけど、ああなるほどそういう世界線なのねと腑に落ちたそうだよ。だって、戦隊シリーズにサンダーバードだからね!
