■個人的にはなんといっても、大正年間と言えば「水平社宣言」だけど、出口王仁三郎についての章が非常に刺さった。このあたりは、それこそあまり大きく取り上げられない思想史の裏面だろうけど、意外に含意が深いのではないかと思っており、もっと深耕したい気になる。
■なにしろ、日本の「カミ」について、気宇壮大なビジョンを示して、不敬罪に問われた人だから。天皇は天孫降臨の神の子孫だというのは、明治初期に捏造されたおとぎ話なわけだけど、皇道大本は、天孫降臨の遥か前に遡る「カミ」について語ったらしい。つまり、日本神話の天皇の先祖たる神々ではない、それ以前の支配者たる「カミ」の存在を霊視(?)したらしいから、凄いことですよ。そりゃ、特高に引っ張られるわけだ。(第1次大本事件)
■これ、誰も触れていないけど、クトゥルフ神話の旧支配者、邪神のことを指しているのでは?とか、愉快な(筋の悪い?)怪奇幻想系の人なら喜ぶところだよね。まだ誰も気づいていないらしいけど。誰か、小説書いて欲しい。
■あとは、歴史学者の喜田貞吉が、古代の「家人」(けにん)は身分の低い奴隷だったのに、武士に成長して支配階級にのし上がったことを踏まえて、「特殊部落」「新平民」も、実力で台頭することで、価値観が逆転しうるとの指摘は、興味深い。そう単純なアナロジーにはならないと思うけど、視点として斬新で面白い。でも、結局は「暴力」による社会的上昇ということでしかない気がするけど。
■これも、フィクションのネタとして、古来「武士」は殺人のプロとして差別され続けた「穢れた一族」で、屠殺した相手を食うことが特権として認められていて、そのせいで特殊能力を持つけど、社会階層としては低いままにされ、権力者に便利に使役されているといった、世界観のホラー活劇ができそう。昔なら絶対できない(某団体から糾弾される)ネタだけど、今なら可能だね。やたらと侍とか武士ばかりが日本人の誇りだみたいに崇拝される明らかに間違った変な風潮(歴史認識)に対するアンチになると思うけど、誰か書きませんか?配信系ドラマにピッタリだよ!
