中弛みが惜しいけど、確かに快作!『十七人の忍者』

基本情報

十七人の忍者 ★★★☆
1963 スコープサイズ 99分 @DVD
企画:天尾完次 脚本:池上金男 撮影:わし尾元也 照明:増田悦章 美術:富田治郎 音楽:鏑木創 監督:長谷川安人

感想

■2代将軍の跡目をめぐって、駿府の忠長は謀反の企みを持っていた。その証拠として城中密かに隠された連判状を奪取するため、伊賀者 甚伍左(大友柳太朗)は16人の公儀忍者を放つが、駿府城内の根来忍者 孫九郎(近衛十四郎)の反撃により、次々と斃れてゆく。。。

■いわゆる「集団抗争時代劇」の嚆矢となった有名作で、『ナバロンの要塞』をイメージしたとも言われる時代劇。当時、大映で忍者ものが流行っていたので、そこに便乗する意向もあっただろう。大映大映でいろいろ試しているけど、東映としても、新規基軸を打ち出したるで!ええホンがあるんや!と踏んだわけだろう。実際、うまい捻りを加えていて、意外にも上出来だった。

■ただ実際のはなし、中盤の「承」の後半部分がかなり冗長で、なにしろ忍者ものなので、活劇が地味すぎる。駿府城の堀周りの右往左往とか、夜陰に乗じて城壁を登るとか、ナイトシーンで画面の見栄えも地味だし、なによりサスペンスが効かないのが辛い。さらに、城中の蔵の中に閉じ込められた二人が、これまた薄暗い中で、延々とひそひそ話をしている場面など、本当はもう少し画で見せる工夫が必要だ。脚本書いてて、これじゃ画が持たないと気づくはずだし、打ち合わせのときに、何か芝居の工夫ないか?となるはずだけどなあ。

■なので、中盤は正直眠たいのが疵だけど、終盤に一気に盛り返すし、ラストの清々しさも見事なので、終わりよければで、さすがによくできているなあと感心する。十七人と謳っているのに、劇中での伊賀忍者は十六人なので、その違和感をサスペンスとして継続させて、最後にその真意を明かす謎解きのアイディアが見事だし、大友柳太朗と近衛十四郎の演技合戦が、終盤のいちばんの見所で、これも台詞がよく書けているから、芝居が引き立つ。

■大友柳太朗は演技的にかなりユニークな手法を持っている人で、本作でもほとんど囁く感じの内向的な台詞回し。対する近衛はかなり強めに弾ける押せ押せの演技で対比していて、このあたりの芝居の塩梅は非常にうまいから、長谷川安人は芝居の分かる人だったらしい。近衛は城中では新規召し抱えで、手下を持たないひとりだけの忍者なので、武士組織の中で孤立していて、兵力を思うように動かせないという、身分差別にふれる描き方もリアルな趣向で良い。さすがだ。待ちに待った、ラストのチャンバラも鋭いカッティングが見事で、三島ゆり子だって、凄腕に見えるのだ。

■実際、三島ゆり子は抜擢だったらしいけど、なかなかの好演で、実はほとんど台詞もない役柄だけど、非常に重要な役どころだし、演技的な見せ場もかなり丁寧に撮られている。演技的には明らかに未熟なのだけど、特別な演技と存在感に感じられるのは演出の妙で、やっぱり、長谷川安人の腕?里見浩太朗に簪を渡す場面なんて、普通は情に絡んだ台詞があるけど、一切なし!で、画だけで見せきるから、ちょっと凄い。


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