基本情報
緋牡丹博徒 二代目襲名 ★★☆
1969 スコープサイズ 95分 @BS東急松竹
企画:俊藤浩滋、日下部五朗 原作:火野葦平 脚本:鈴木則文 撮影:吉田貞次 照明:井上孝二 美術:井川徳道 音楽:木下忠司 監督:小沢茂弘
感想
■緋牡丹博徒シリーズ第4作。このシリーズ、途中から明治期の社会問題をモチーフにしはじめ、社会派映画の一面を持っている。本作は、九州で石炭の運搬を船便から陸蒸気に切り替えた時期の、遠賀川流域での労働問題の軋轢を下敷きにしている。火野葦平の「女侠一代」を原作としているから、そこからのモチーフかもしれない。
■陸蒸気の線路敷設工事を川辺組(アラカン)から引き継いだ矢野一家が、荒木田一家(天津敏、小松方正ほかの皆さん)の妨害を受けながら、船頭たちの川筋者(石山健二郎ほか)との信頼関係を築いてゆく姿が描かれる。とはいえ、佐藤純弥みたいに露骨に真っ赤にはなりませんよ(当たり前だ)。
■川筋者といえば、民俗学的には被差別の民としての側面があると思うけど、むしろ地元では一種の侠客として認識されているようだ。お竜さんは、失職する船頭たちに鉄道関係の仕事を斡旋する交渉を国(中山昭二!)との間で取り付けるので、堂島の女親分おたか(清川虹子)から、お竜さん、大きうならはったなあと感心される。
■二代目襲名と銘打っているけど、そこはあまり大きくなくて、意外とさらっと終わる。なにしろ、二代目をついで故郷に定着してしまうと、シリーズが終わってしまうから。土方のなかでカタコトの日本語を使う(朝鮮人労務者風の)全身入れ墨者を演じるのが汐路章で、コメディリリーフだけどとにかくやり放題で儲け役。何しろ背中全面、尻までの入れ墨なので、撮影前の準備に何時間かかったのだろう?といらんことを心配する。逆に長門裕之のほうが、なんか中途半端で、冴えないなあ。
■高倉健が登場するのも、ちょうど半ばくらいで、なかなか登場しない。小沢茂弘の映画は、ほとんど観ていないけど、撮り方が結構独特で、様式的などっしり構えた構図は敢えて避けているようだ。わりと不安定な望遠撮影が多くて、構図は安定せず、顔は変なフレームで切れるし、カット割りも粗いと思う。やくざ映画を多産した監督なので、もっと様式的なスタイルかと思えば、逆にかなりラフなタッチなのだった。背景には撮影当時のガスタンクなども映り込んでいて、まあ時間がなかったのだろうけど。
■キネ旬のデータベースでは音楽が渡辺岳夫になっているけど、実際は木下忠司ですよ。なにかの事情でしょう。
