戦争には負けたが、男夫婦(?)に子どもが授かる最終作!シリーズ第8作『兵隊やくざ★強奪』

基本情報

兵隊やくざ★強奪 ★☆
1968 スコープサイズ 80分 @DVD
企画:奥田久司 原作:有馬頼義 脚本:舟橋和郎吉田哲郎 撮影:森田富士郎 照明:伊藤貞一 美術:内藤昭 音楽:鏑木創 監督:田中徳三

感想

■シリーズ第8作で、最終作。とはいえ、勝プロで『兵隊やくざ 火線』が製作されていているので微妙なのだが、大映では最終作。それに『火線』は続編ではなく、リメイクという扱いなので、やっぱり本作が最終作だね。なぜかアマプラ(「KADOKAWAチャンネル」)に入っていないので、DVDで観ましたよ!なんで?

■戦争が終わり、関東軍が崩壊したので、本土を目指して満州を南下する二人組。だが赤ん坊を拾うと、別れ別れになってしまう。。。

■しかし、聞きしにまさる低迷ぶりで、もはや兵隊やくざではない。なにしろ、陸軍のリンチ体質に反抗するお話だったのに、敗戦で関東軍は事実用消滅してしまったので、テーマを喪失して、まるでニューシネマのように流離うことに。たぶん、舟橋和郎は書いてないよね。

■十万ドルの金塊を関東軍が持ち逃げしたから解放軍が開拓民の満州引き上げをペンディングしているという話になって、大宮がその奪還を請け負うことになるけど、その首魁は特務機関の男(夏八木勲)で、大宮は最終的に一対一の対決を挑むことになる。敵は外ではなく、身内にいるという趣旨はシリーズで一貫しているけど、今回の場合は、ありふれた冒険譚になってしまう。

■最終的には男二人で赤ん坊を育てようという呑気な話になって、男夫婦についに子まで授かってめでたしめでたし?という確信犯的幕切れ。完全にゲラゲラ笑いながら企画立ててますよね。演出も撮影もなんとなくマカロニ・ウェスタンを意識しており、映像のタッチはニューシネマ的でもある。森田富士郎がお得意の望遠使いを駆使するからなのだが、大映末期で明らかに低予算なのもある。

■わざわざ松竹からやってきた佐藤友美は、実質的には『吸血鬼ゴケミドロ』で太秦にいたので、そのまま居残りで出演したのでは?お色気担当の小林直美はちゃんとキレイなので、もっと活躍してもよかったのに。一方で毛利郁子はいるはずなのにほとんど画角に入っていないのでは?なんだか自社女優には不憫な扱いなのだ。
maricozy.hatenablog.jp

■こうして兵隊やくざサーガは幕を閉じたのだけど、さすがに最終作はキツイなあ。われながら、よくぞ全部観たとは思うけど、索漠たる気分だ。いっそのこと、シベリア抑留されて、ラーゲリの中でソ連兵あるいは日本人捕虜団の幹部に反抗しまくるドラマに移行すればよかったのに。無理に決まってるけど、シベリアでの勝新の大暴れを、ちょっと観てみたいよね。『兵隊やくざ シベリア無宿』とか『兵隊やくざ ラーゲリ大脱走』とか。


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