■前著の『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』じゃなくて、本書だけ読めば足りるという意見も散見されるとろなので、まず本書を選びましたよ。個人的な備忘として、印象的だった以下のポイントを紹介しておきましょう。
映画の脚本は詩に近い
■これはかなり本質的な指摘で、意外な感じもするけど、よく考えてみれば腑に落ちる。
■なにしろ映画は90分とか120分しか使えないので、人間を描くにしても、事件を描くにしても、それらの一瞬の断面を取り上げるしかない。その一瞬の裏に、描かれないほとんどの時間を重ねて構築するという考え方に基づいている。映画の制作者は、無意識にそれを行っているのだ。
■シナリオ作法的にも、「裏に回す」という手法があって、あえて表に出して描かないほうが効果的な場合がある。
台詞ではなく、「ドラマ上の欲求」が最重要
■これもなかなか鋭い指摘で、脚本に必要なのは、登場人物が何を欲しているかという事柄であって、極端にいえば、それがわかっていれば、台詞は俳優がアドリブでも言えるのだと。
■そんなこと言っちゃっていいのかと心配になるけど、極限すれば、それもそうなのだ。ある意味、初心者にとっては台詞を書くハードルがぐっと下がることになる。第1幕の設定と状況説明でそれがきちんと明確化されていれば、第2幕の構築も台詞も自然と出てくることになるのだ。台詞が少々まずくても、それなりに伝われば、映画は成立するものなのだ(B級映画がまさにそう)。
CBで人物像を捉える
■登場人物の人間像を設定する際に、9歳から18歳くらいまで間に、どんなトラウマを持っているかと考えると、人物像が特定しやすいというメソッドが提案されている。
■これも、なかなか有意義な手法で、あまり他で聞いたことがないけど、納得感が大きい。人間を描くときに、たしかに言動の肝になるからだ。特に究極的な切羽詰まった心理状況で、トラウマの有無やその内容は、その人間の言動を大きく規定するだろう。履歴書を作るというのはシナリオ作成の基本的な作業だけど、単に機械的な履歴書ではなく、要は人格形成の最重要ポイントを掴んでおけということで、理にかなっている。
■ちなみに、トラウマといっても、フロイト流の精神的な障がいを引き起こす深刻なものではなく、シド・フィールドの造語CB(Circle of Being)のことを指している。まあ、昨今の一般名詞化したライトな意味でのトラウマをイメージすればいいのだろう。これは十分に実践的なメソッドだと思う。
でもこれだけじゃ足りない
■でも、やはり第2幕の作り方について、これだけじゃ不足を感じます。障害(=葛藤)を4つくらい用意しろと言われますが、第2幕の構築についてもう少し法則的なものを求めれば、ブレイク・スナイダーの『SAVE the CATの法則』に進むんでしょうね。


