基本情報
新・兵隊やくざ ★★★
1966 スコープサイズ 85分 @アマプラ
企画:久保寺生郎 原作:有馬頼義 脚本:舟橋和郎 撮影:中川芳久 照明:伊藤幸夫 美術:下河原友雄 音楽:鏑木創 監督:田中徳三
感想
■シリーズ第3作だけど、ちょっと趣向を変えて、意外に面白くなった良作。制作は東京撮影所に戻ったけど、撮影が名手といわれる中川芳久で、さすがに質感の高いモノクロ撮影が堪能できる。美術も下河原友雄なので、このシリーズは結構な大作仕様なのだ。
■再び捕まった凸凹コンビは新たな部隊に入るが、ここも脱走して奉天で慰安婦たちを引き抜いてピー屋を始めることに。繁盛していると憲兵がやってきて、お前たちの素性を黙っているかわりに、大金をよこせと強請る…
■その中で、大宮が瑳峨三智子と結婚するエピソードが入り、藤岡琢也や玉川良一がいい塩梅に絡んでコメディ要素を増量する。このコメディ要素が本作の美点で、これまでも芦屋雁之助、小雁コンビなどが投入されたが、今回もくどくならない程度に人間関係を潤す。
■そして、ついに憲兵隊と正面から対決することになるが、その決着とラストの脱出のあたりは、畳み掛ける演出が秀逸で、鏑木創のテーマ曲が映える。大規模な活劇はないけど、かなり上出来だと思う。成田三樹夫の青柳憲兵伍長が登場し、単なる強面ではなくて、独特のニュアンスを含んだ演技が秀逸で、本作の成功の肝になった。このあたりの、演技のぶつかり合いは、増村組の中静達治の編集の妙もあると思うな。
■大宮が結婚してしまったせいで、有田が寂しがるあたりもお約束ながら傑作。当然ながら、大宮が嫁さんを放っておいて、有田のもとにやってくる。俺達は死ねば靖国に入れるが、女たち(慰安婦)は不憫だ、俺はだんだん彼女たちが可愛くなってきたとしんみりと述懐していた有田なのに、あっけなく置いて逃げるのは、いかがなものか?なんだけどね。
■結局、有田にとっては大宮の方が可愛かったし、大宮も嫁よりも有田の方が一心同体だったということ。その意味では、首尾一貫しているのだ。
■そして、このシリーズは、勝新がどんどん可愛くなっていくのが見どころで、有田と照らし合うことで、なんだか乱暴者のパンダみたいに見えてくる。これ、他のシリーズとは明らかに違うところ。

