【映画脚本レビュー】子ども映画の鮮烈な傑作!田村孟の『少年』

■言わずとしれた大島渚の代表作の一本ですが、田村孟の書いた『少年』のシナリオは、完成版よりも遥かにいい出来なので、そのことを顕賞するために記事を残しておきたい。

■おおまかなことは映画の感想に書いているけど、この脚本は実に良い。でも大島渚の演出が、正直いらんことを色々やっていて、もっとま正直にドキュメンタルに撮れば、もっと傑作になったはず。例えば、当時の日活映画で、大塚和が製作すれば、素直にリアルな傑作になったろう。監督は中平康でも良かったかもしれない。

■明らかに、創造社の仲間だった佐々木守の書いた子ども向けテレビ映画を踏まえていて、ある意味、佐々木守の作品に対する返歌になっていると思う。正義のアンドロメダ星人になりたかったんだよ!と魂の叫びを吐露する少年の痛々しさ。これはもう完全に、ウルトラマンを下敷きにしていて、ウルトラマンの出てこないウルトラマンと呼んでもいいかもしれない。

■ちなみに、渡辺文雄演じる「父」は戦争に行って負傷兵として生還してからグレてしまった男で、実際にこうした戦地で心を病んで帰還した兵士は当時かなり存在した。関西の名物アナウンサー桑原征平の父親もそうした人間で、中国大陸で中国兵を殺した記憶から、戦後手のつけられない粗暴な人間に変貌したことを明かしている。渡辺あやも『カーネーション』で、戦地で廃人となった勘助に託してそのことを告発した。
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■でもね、これは完成版の映画よりシナリオのほうがずっと良いから、是非読んでみてくださいよ。ラストシーンの切れ味に痺れてください。

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