思ってたのとは違う!坂元裕二の異色作『片思い世界』(ネタバレ有り)

基本情報

片思い世界 ★★★
2025 ヴィスタサイズ 126分 @イオンシネマ京都桂川(SC7)
脚本:坂元裕二 撮影:鎌苅洋一、小林拓 照明:秋山恵二郎 美術:原田満生、佐久嶋依里 音楽:鈴木慶一 監督:土井裕泰

感想

■お話はなにも書けません。一応ネタバレ有りとは謳っているけど、物語についてはあまり触れたくない。けど、予告編からイメージしていたのとは、大幅に異なる。ジャンルが異なる。

■『ファーストキス』と同じファンタジーで、何故かこのところ坂元裕二はファンタジー推しらしい。世界観が明確になる第1幕あたりまではさすがに話術の妙で引き込まれるし上出来、第2幕の中盤でスーパーカミオカンデ素粒子をキャッチすれば◯◯が観測できる可能性があるというあたりの疑似科学的大風呂敷も大好物。坂元裕二東京芸大では黒沢清と同僚のはずなので、影響を受けたのではないか?〇〇がこの世界に戻ることができる方法を発信する(怪しい)ラジオDJ松田龍平というのも、ジャンル映画としては非常に結構な趣向で、大いに期待したのだが、第3幕の構成に疑問が多かった。

■なにしろ、広瀬すず、清原果耶、杉咲花のそれぞれの見せ場を用意するために、同じような愁嘆場が3つ重なってしまった。いかにもお涙頂戴な見せ場が、三連チャンね。これは構成上痛い。坂元裕二はむかしから平気でお涙頂戴ドラマを書く人だけど、さすがに構成に無理がある。まあ、清原果耶のラインと杉咲花のラインが合流する工夫がしてあるけど、どうしても、広瀬すずのエピソードが冗長になってしまうのが、勿体ない。さらに加えて合唱コンクールの場面までたっぷりあるから、いったい何段重ねだ?というクドさ。

■例の犯罪者の扱いもなかなか厳しくて、坂元裕二には『それでも僕は生きてゆく』という大傑作があるので、どうしても比較してみてしまうからなあ。演出上の問題もあるけど。(人間なのに◯◯より怖いという構図は効いているけど)
maricozy.hatenablog.jp

■かなり捻った話で、発想は嫌いじゃないけど、単純に『ファーストキス』のほうが出来は良いと思う。狙い通りにちゃんと笑える映画になっているからね。松たか子という稀有のコメディエンヌの存在は絶大なのだ。


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