勉強しとけば何かいいことあるの?浦坂純子著『なぜ「大学は出ておきなさい」と言われるのか キャリアにつながる学び方』

■完全に個人的な備忘です。大人にとっては、特に意外なことは書かれていませんが、書きぶりが楽しくて、スイスイ読んじゃいますね。金子修介の快作『就職戦線異状なし』が参照されますからね、しみじみと世代を感じますね。。。

■なんで大学くらい行っておけと大人に言われるかといえば、要は選択肢を自分で減らすのは得策ではないということです。「積極的に増やそうとしなくてもいいから、せめて減らさないようにする。(p83)」ということ。大切な考えかたです。むかしから言われている、潰しが効くから「法経」に行っとけというやつですね。いまだにそんな傾向はあると思うなあ。いや、いまなら「IT」行っとけでしょうか?

■そして、「土台はなるべく水平で幅広いほうが、積み重ねがしやすい(p.155)」とか「苦手を作らない、興味を狭めない、可能性の芽を摘まない、という意味で(中略)フィールドを広げることが大事(p.155)」といいます。とりあえず幅広く学んでおくことが、将来のためになりますよ、ということで、まあそのとおりです。選択肢も広がるし、専門性を高めようと思っても、土台の大きさによって制約が出てきますからね。

■内容的には常識的な範囲なので、大人が読んだから何か得るものがあるかといえば、知っていることを再確認したというレベルですが、中高生が読んで素直に、なるほどなあ!と感じるのだろうか?例えば、不登校で全く勉強しない子どもがいるとして(現実に30万人規模で大量に存在する!)、この本を読んで、素直に心動かされるだろうか?

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