■広瀬健次郎といえば、東宝映画とかガメラ映画の明るくて軽快な曲想の劇伴担当という印象だったけど、60年代からTVアニメを書き、70年代に東映映画の劇伴を書いている。TVアニメはなにしろ『ど根性ガエル』の人なので、そこはまさにイメージ通りなんだけど、70年代の東映映画では、それまでと異なるアグレッシブな劇伴を残していて、ちょっとどうかしてる?感がある。『女番長 タイマン勝負』は関本郁夫の監督作だけど、基本的に中島貞夫とのコンビが多いのは『893愚連隊』が好評だったからだろう。
■東宝の若大将シリーズなどは流行りのエレキテイストを全面に打ち出したけど、70年代東映映画ではジャズ、ファンク、ロックといった東映ファン層の好きそうな(ホント?)、とにかく刺激多めで、ジャンキーで、イケイケで、ノリノリの楽曲を残している。当時は八木正生とか鏑木創とか荒木一郎といった面々がレギュラー陣で順繰りに担当していた雰囲気だけど、そのなかでも広瀬健次郎のネジのぶっ飛んだ狂騒的なとんがり方は明らかに異色。
■八木正生のおなじみのジャズテイストとか、鏑木創の大正琴の音色とか、まあトレードマークのタッチとか曲想を発揮するけど、広瀬健次郎は60年代東宝映画のタッチとの差が激しくて、まるで別人のよう。まあ、実録ヤクザ映画のヒットで浮足立っている当時の東映映画の狂騒的な作風を忠実にすくい取ったということかもしれないけど、ひょっとして影武者がいたのかな?東映だから低予算のはずなのに、小規模編成ながら演奏のレベルが異様に高いのも謎で、きっと有名なスタジオミュージシャンが参加しているに違いない(よね?)。「女番長 タイマン勝負 M-17」のイケイケ感も凄いんだけど、アクション場面用に、より疾走感を増した「女番長 タイマン勝負 M-21」は狂的にサイコーです。カッコよくて癖になります。映画見てないけど、音楽だけ聞いても興趣が完結してるなあ。
■といっても、『女番長』シリーズは未見なので、観ておきたいなあ。東映京都製作なので、ロケはほぼ京都とか大阪近辺らしく、興味津々だよ。なにしろポルノ扱いで、関西風味のいなたくて泥臭いピンキーアクションなんだけど、いまや逆に貴重だよなあ。(八田富子の「女番長ブルース」のドスの利いたやさぐれ感もサイコーですよ)
参考
こちらの『唐獅子警察』『沖縄やくざ戦争』のテーマも楽しいですよ。映画をはなれて独立して聞いてもカッコいい傑作スコア。
maricozy.hatenablog.jp
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