発想に冴えがない!惜しい韓国映画『プロジェクト・サイレンス』(ネタバレ有り)

Project Silence ★★☆
2025 スコープ・サイズ 96分@TJOY京都

■ソウルと空港を結ぶ大橋で濃霧の夜に大規模な玉突き事故が発生。さらに事故に巻き込まれた軍車両から謎の生物が逃げ出して、濃霧に立ち往生する人々に襲いかかる。。。

■という、極限状態下でのパニック活劇で、悪くはないのだけど、正直なところ核になるアイディアがパッとしない。派手なVFXの道具立てがスペクタクルを煽るけど、あまりサスペンスが積み上がらない。面白くなりそうな登場人物たちのエピソードが粒立たない。結果的には、退屈はしないけど、どうも煮えきらない活劇になってしまった。

■一番残念なのは、わくわくさせてほしい「謎の生物」が単に軍用犬というところ。軍用犬の動機に「復讐」の怨念を込めたところは韓国映画らしくて悪くないけど、単なるブルドッグではね。

■韓国では古来「犬」は蔑視される文化があり、基本的に良い意味では使われないらしい(儒教の影響?)。日本での「豚」などと同様のニュアンスが込められるらしいので、ラストの「お前は犬にも劣る」のセリフも、日本では「お前は豚以下だ」となるのだろう。古来人間に食べられ、軍用に改造されてまで酷使される「犬」の反逆というテーマには、韓国ならではの独特な意味合いが込められているのだろうけど、でも単に「犬」では映画は燃えない。。。嘘でもいいから、怪物とかクリーチャーにしてほしいよなあ。それを期待して観に行ったのに。。。

■日本でも「権力の犬」とかいうけど、「犬」は友達とか相棒とか、日常生活とか労働の場面で、人間と一緒に働く動物のイメージが強いから、「犬」に恨まれる筋合いは少ない気がする。あ、野犬とかさんざん殺処分してるか。

■さらに、保安部長のキャラクターが曖昧なのは大失敗。配役も疑問だけど、あれはもっとはっきりと性格付けしないと、活劇の要素が昇華できない。それに呼応して、主人公の性格も煮えきらず、最初と最後でどう変化したのかというドラマの肝が焦点を結ばない。やっぱり、上昇志向で、権力志向のおじさんに見えてしまう。そうじゃないはずでは?

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