原作:山崎豊子 脚本:前川洋一 撮影:柳田裕男、 照明:宮尾康史 美術:江口亮太 テクニカルプロデューサー:大屋哲男 VFXプロデューサー:道木伸隆 VFXスーパーバイザー:森田淳也 音楽:佐藤直紀 監督:水谷俊介、鈴木浩介
vol.1(ep1&ep2)
■1985年の航空機墜落事故の一報から、1961年に遡って、若い恩地(上川隆也)が心ならずも労働組合の委員長に担ぎ出され、1年のつもりが2年目に入り、整備員の深刻な人員不足を巡って総理大臣の帰国便に絡むスト計画を実行したために運用大臣から名指しで指弾されるまで。
■一方で親友の行天(渡部篤郎)は、副委員長として尽力するが、嫁さん(若村麻由美)が「上級国民」で、恩地さんに巻き込まれたらだめよ、あの人「アカ」らしいわよというものだから、途中から腰が引けてくる。
■軽い気持ちで見始めたけど、さすがに山崎豊子先生、ガチガチにリアルなサラリーマン残酷物語なので、すっかり引き込まれる。恩地はとにかく生真面目な人間で、組合の委員長を引き受けたからには、真正直に職責を全うしようとするから、ついつい帝国大学で共産党細胞だった頃のクセがよみがえり、熱くなる。さすがについていけんわ、と引き気味な行天のリアクションが哀しくも笑える。
■航空会社なのに現場の慢性的な人員不足を放置していて、整備員(徳重聡が渋く好演!)が死亡する事故(労災、殉職)が起こり、恩地はこのままではもっと大きな事故が起こるぞと危惧する。ドラマのテーマが端的に提示された、いい1話でしたね。
vol.2(ep3&ep4)
■首相フライトにストをぶつけたことことが政府筋の逆鱗に触れ、恩地はカラチ支店に飛ばされる。一方、行天は嫁に言われるまま労務担当の堂本常務(國村隼)に寝返り、ロス支店に栄転すると、さっそく航空機事故(整備不良)の隠蔽を図る。恩地は社長に直談判して2年間の赴任を確認していたが、テヘラン支店に移動を命じられると、オレにもプライドがあるぞ、倍返しだ!と歯噛みする。
■全くストレスなく、するすると楽しめる良作。ホントに見始めると止められないなあ。時代は1965年に入り、すでに東京オリンピックも通り過ぎてしまった。それにしても、恩地はまだ主任なのに社長と料亭で直談判するとか、いくら元組合委員長でも、そんなことあるのかなあ。山崎豊子だから当然取材に基づいているだろうけど。組合の委員長って、凄いんだね(しらんけど)。
■安全運行に対する軽視(人命軽視)という会社の宿痾(風土病?)を一貫して追求するらしい。国策会社ならではの現実軽視、建前重視の社風が、航空機事故に直結していることをネチネチを暴くのだろう。さすが、豊子。
vol.3(ep5&ep6)
■テヘラン勤務が3年に及び、その間に母親(田島令子!)は急死、第二組合が発足して、旧組合員たちは露骨なパワハラに晒される。さすがに次の異動で日本にと散々ごねた恩地だが、直談判していた社長(古谷一行)が急逝する。さらにナイロビ勤務を内示され、旧組合員の窮地を見捨てられない恩地は、組合活動に関わらないと約束さえすれば本社に戻すという会社の懐柔にも応じず、ナイロビ行きを決意する。
■とことん組合とその仲間たちに義理を通そうとする恩地の意志は、立派とも思えるし、なぜにそこまで頑なに?という気もする。家族の為を思えば、手を切ればいいのに。たぶん普通の人ならそうする。そこまで強固な意志はどこからくるのか?会社は理不尽だけど、だいたい組織は理不尽なもの。組織に残ることに固執するなら、ある程度の理不尽は呑み込むしかない。普通はそう考える。なぜそうじゃないのか、というところを描いてほしいのだが、後半で描かれるのだろうか?
■さすがに、同じような話が続くし、一方の行天と常務たちの企みは水戸黄門の悪役のようにステロタイプでリアリティがないので、このあたりのepはどうも話が浅いなあ。原作はもっとリアルじゃないかと思うのだがなあ。
vol.4(ep7&ep8)
■ケニア就航の交渉は打ち切りと決定されるが恩地はそのまま残留に。一方1970年前後に人身事故が続発すると、行天は調査委員会に圧力をかけて隠蔽を図るが、天下り社長(鶴見辰吾)が国会予算委員会に招致され、労使対立に関して、元組合委員長に対する報復人事についても追及されることに。恩地は労働委員会に出席して、約10年にわたる内規無視(!)の懲罰人事の実態について証言すると、社長も組合に帰国を約束するが、堂本副社長は、国内にも日陰部署はいくらもあるとほくそ笑む。
■そこに謎の「アフリカの女王」(草刈民代)とのふんわりしたロマンスが絡んだりするけど、あまり意味はない。そもそも、露骨な報復人事や懲罰人事は当時でも立派な労働問題だったはずで、まずは労働局とか労基署に相談すべき事項のはず。当時は大きな労働問題が山積で、今ほど敏感に反応しなかったかもしれないが、そこのところをちゃんと説明しておかないと、登場人物がバカに見えてしまう。少なくとも今なら、一発で労働局の調停とか指導とかが入るはず。半官半民の国策会社だから労働省も手出しできないとか、そのあたりの特異な事情を説明しておかないと、サラリーマン視聴者は納得できないよね!
■後任の組合委員長が小泉孝太郎なんだけど、これも妙に生硬な演技で、『八重の桜』の徳川慶喜役をあれだけ生き生きと熱演したのが嘘のような覇気の無さ。要は脚本なんだろうね。
■そもそも第一部は原作のアフリカ篇を時系列通りに展開したところに無理があり、薄味になった。映画ではアフリカ編はちょっと触れるくらいで、核心の御巣鷹山篇に入る。そして、そこからがお話の本筋で、第一部はあくまで導入部分に過ぎない。映画でも「休憩」を挟んだ後半が面白かったからね。第二部から、ちゃんと面白くなるんだろうね!配役が豪華だから、盛り上がるはずだけど!

