山師カリオストロの大冒険!なぜか日本未公開の『黒魔術』

基本情報

BLACK MAGIC ★★★
1949 スタンダードサイズ 105分 @アマプラ

感想

■予知能力のあるジプシーの母を魔女として眼前で処刑された少年は、長じてカリオストロと名乗り、受け継いだ天性の催眠術を武器に成り上がると、マリー・アントワネットと瓜二つの娘を利用して、フランス王朝の転覆と宿敵の枢機卿への復讐を果たそうとするが…

■何故か日本では未公開だったという結構な大作で、イタリアロケによる壮大な宮殿の撮影などもあり、メロドラマと活劇が融合した、単純な娯楽作。デュマの小説『ジョセフ・バルサモ』が原作となっている。監督はグレゴリー・ラトフという人だけど、オーソン・ウェルズが結構気持ちよく演じたうえに、部分的に演出まで担当したといわれているから、製作体制に相当余裕があった模様だ。変な具合でフェードアウトしたり、編集はかなりギクシャクしていて、かなり割愛があったのではないかと思われるけど。まだブクブクに肥える前のオーソン・ウェルズがかなり精悍な印象で、確かに好演するし、本人もお気に入りらしい。

■演出的にはあまり褒められないと思うけど、文藝ロマン活劇としてのパッケージが成立していて、最終的に正義の近衛隊長とカリオストロがフェンシングで一騎打ちするから、お約束どおりの構成。でも、作画合成も見事なので、ちゃんとハラハラする見せ場になっているから、悪い気はしない。

■ただ、メロドラマの部分はかなりおざなりで、カリオストロを嫌いながらも催眠術で利用されるロレンツァという娘の心理がまるで描けていないから、感動には至らない。クライマックスでカリオストロに催眠術を施すのが有名なメスマー医師で、法廷が催眠術合戦になるのはカオスで珍妙な展開だけど、メスマーといえば黒沢清の『CURE』で有名(?)なアレですね。オーソン・ウェルズは左顔がお気に入りだったらしく、コンテの都合を無視して、左顔ばかり撮っている(撮らせている?)気がするけど、気の所為?



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