つまらぬ世はさっさと潰し 面白き世を作れ!『室町無頼』

基本情報

室町無頼 ★★★
2025 スコープサイズ 135分 @TJOY京都(SC6)
原作:垣根涼介 脚本:入江悠 撮影:大塚亮 照明:杉本崇 美術:松﨑宙人 音楽:池頼広 VFXスーパーバイザー:野口光一 監督:入江悠

感想

■まだ相国寺に七重塔がそびえ立っていた頃、応仁の乱以前の京の都で、疫病と重税にあえぐ民衆の一揆「寛正の土一揆」に加勢した実在の大将、蓮田兵衛の活躍を描く、時代活劇大作。いろんな娯楽映画の要素がごった煮状態で、深作欣二のようでもあり、マカロニ・ウェスタン(音楽が完全にマカロニ)のようでもあり、部分的に怪獣映画演出もある。

■『十三人の賊軍』が尾上克郎神谷誠という特撮チームだったのに対して、本作のVFX東映アニメーションが担当する。分かりやすい棲み分けですね。京都でも大規模なエキストラ募集が行われたけど、当然ボランティア。でも、このエキストラは大変だったと思うなあ。とてもロハではやってられない。なんとB班撮影は大ベテランの田中勇二が回しているけど、東映京都に若手キャメラマンはいないのか?

■蓮田兵衛(大泉洋)だけでなく、その弟子となる才蔵(長尾謙杜)の兵法者としての成長を描くので、尺が長くなる。才蔵の成長の部分は大幅に香港映画テイストで、仙人のような柄本明も(例によって)突拍子な演技で応える。大泉洋も剣術を披露するけど、アクション担当は長尾謙杜で、実際頑張っているのは確か。ただ、どうしても既視感は否めないし、どうもいまいち役者として華がないのが辛い。

■いわば、深作欣二の『魔界転生』とか『里見八犬伝』の仲間なんだけど、決定的に弱いのは役者が揃わないこと。これが80年代なら、JACの大御所がずらっと揃ったはずなのに、知らない顔ばかり。素朴に寂しい。武田梨奈も出てるのに、あれだけではもったいない。大泉洋は例によって嫌味のない軽い演技で良いんだけど。なかでもいちばん儲け役は三条の高級遊女を演じた松本若菜で、正直お話にあまり深く絡まないのだけど、入江悠お得意のラップ演技(?)を披露して、これは素晴らしい貫禄だし、演出でした。松本若菜を見直しました。『仮面ライダー電王』もいいけど、『あまんじゃく2』の怪演も忘れがたい。
maricozy.hatenablog.jp

■正直、お話もかなり単純で、政治的にも一揆の運動についても社会階層についても、なんぼでも面白い要素を詰め込めそうだけど、意外に単純で薄味。しかも、ラスト付近が冗長で、もっとスパッと綺麗に終わればいいのにと思う。ちなみに、堤真一演じる骨皮道賢を「河原者」と蔑む場面があるのは、皮革加工がもともとの生業という説があるためらしい(わかんないよね)。そうそう、北村一輝の最期は、やっぱり首が飛ばないと、東映映画としては締まらないよ!


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