2021 横山秀夫サスペンス『第三の時効』 ★★★
原作:横山秀夫 脚本:青島武 監督:朝烏ツワ子
■おなじみ、横山秀夫の「F県警強行犯シリーズ」のドラマ化で、2002年にTBSでいちど制作されているけど、2021年にテレ東でリメイクされた横山秀夫サスペンスシリーズの第三作。同じ原作を使っても、脚本がちょっとアレンジされている。
■TBSで版は榎戸耕史の演出なので、ゴリゴリにハードだった(はず)だけど、本作もなかなかのもので、意外に良かった。普通の2時間ドラマ的に情に訴える(お涙頂戴)部分が付加されている気がするけど、なにしろ原作が原作なので、公安警察出身の楠見班長の非人間性が際立つ作りは動かない。
■被害女性(?)をなんとともさかりえが演じていて、重要な役なのでTBS版は余貴美子だった。ともさかりえも成長したなあ。というか、キャリア的には大ベテランですね。ともさかりえの色気を演出で強調するところが配役とともにユニークで、意外に成功している。犯行自体は(そんなやつおらんやろ!とか)いろいろと作り物の違和感が拭えないけど、そこは横山秀夫なので、警察側の人間像がリアルで面白ければ、それなりに納得はできる。
■公安警察の時代に、カルト教団内部に女のスパイを作って情報を提供させていたけど、関係がもつれて背中を刺されるし、当該女性は自殺するし、教団にその経緯を記した怪文書を撒かれるしの不祥事で公安を追い出されたところを捜査一課長に見込まれて強行犯に据えられた、人情を斟酌しない権謀術策の悪魔のような冷血漢(完全に謀略家)。TBSで版では段田安則だったけど、今回は松重豊で、ちょっと歳とりすぎの感はあるけど、異貌を生かした役どころで、一目瞭然怖い人。TBS版で橋爪功が演じた捜査一課長が平田満で、これは完全に人間像が変わってますね。平田満は腹に一物あるように見えないから。その上司が岩松了なので、もう『時効警察』にしか見えないよ。
■一方で、TBSで版では緒形直人が演じてピッタリの役どころだった、純情で正義感の強い素朴な若い刑事を吉沢悠が演じていて、これが好演で、むしろ緒形直人より良かったかもしれない。インテリジェンス畑ならではの化け物のような松重豊に対して、人を信じやすい平凡な人間の感覚を巧まずして醸し出すところに、なかなか得がたい味があった。昔からときどき見かけているけど、いい役者になったなあ。最後は原作と異なり、女に裏切られて苦い結末になるけど、こちらのアレンジのほうが良いかも。
■ちなみに、仲村トオルはTBS版の2016年「D県警シリーズ」で影の人事権者・二渡を演じ、テレ東版の2021年「F県警強行犯シリーズ」の朽木班長を演じているので、どっちの世界線を観ているのか、混乱する。役者が枯渇しているのかなあ。(実際そうだけど)
■ちなみに、監督の朝烏ツワ子という聞いたことのない変な名前は、2021年テレ東版「F県警強行犯シリーズ」のメイン監督の麻生学の変名らしい。なんで?
参考
maricozy.hatenablog.jp
TBSの2016年D県警シリーズです。これは傑作でした。
maricozy.hatenablog.jp
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maricozy.hatenablog.jp
TBSの2014年F県警シリーズです。映画との連動企画でした。
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