最前線という日常を生きる!幻想的戦争映画『戦場』

戦場

戦場

  • ヴァン・ジョンソン
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基本情報

Battleground ★★★
1949 スタンダードサイズ 118分 @DVD

感想

■第二次大戦末期の激戦「バストーニュの戦い」を背景に、ドイツ軍と戦う小隊の転戦ぶりと、戦場における日常を描いた戦争映画。いわゆる戦記映画とは異なり、戦略とか戦術とかの巨視的な状況は描かれず、ひたすら前線の兵士の視点、アリの目から戦争の現実が描かれる。ウィリアム・A・ウェルマン監督の有名映画。

■とはいっても、昨今の臨場感演出では当然ないので、ある意味のんびりした軍隊生活が描かれる。おまけに、兵士たちを演じる役者に馴染みがないので、登場人物を見分けるのにも苦労する。主演はヴァン・ジョンソンという人だけど、さすがに馴染みがないし、むしろ個性的な脇役テイストなのだが、当時は結構なアイドル的な人気者だったらしい。フランス娘から掠め取った産みたての卵がその後どんな経緯をたどるのかという妙にこだわった描写が強烈に印象に残る。いくらなんでも、汚すぎると思うけど、それが戦場のリアルなのだ。食べ物を使って描くと、そのことが実にリアルに感じられる効果がある。

■お話の展開には大きなメリハリはなくて、正直途中退屈するけど、冒頭の行進訓練の描写とラストのボロボロの状態の行進場面を対置するだけで、映画としての骨格と構成は盤石だし、確かにグッと来るからうまいよね。なんとか命からがら生き残ったけど、すぐにどこか他所への転属が決まると、新たに最前線に向かうピカピカの新兵たちの行進と逆の方向に、かろうじて残った気力だけで体を支えながら、ボロボロの部隊が意気軒昂に去ってゆく。敗残兵でないだけ、彼らは幸福なのだ。いや、確かに名場面だなあ。人生には辛いことがいっぱいあって、満身創痍になるけど、それでもまだ俺達は戦える、まだまだ多少の見栄を張るくらいのガッツは残っているのだ!戦争映画なのに、人生の応援歌になっているという妙技。

■戦場が霧に閉じ込められている設定(史実)から、ステージ撮影を多用して、却ってリアルな奥行き感を描出しているところも見どころで、リアルな最前線の戦闘を描くのに、逆に幻想的な情景に見えるから、ユニーク。撮影はポール・C・ヴォーゲルという人だけど、ちゃんとアカデミ賞を受賞しているから、さすが。


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